貴親方が稀勢祝福 横綱になっても国技相撲の伝承者であれ

[ 2017年1月23日 09:45 ]

大相撲初場所千秋楽 ( 2017年1月22日    両国国技館 )

貴乃花親方
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 平成の大横綱の貴乃花親方が初優勝した大関・稀勢の里へ向けたメッセージをスポニチ本紙に寄せた。今場所の戦いぶりや春場所では悲願の横綱への昇進が決定し、今後へ向けた横綱としての課題などを挙げた。

 稀勢の里にはまず初優勝おめでとうと言いたいです。なかなか優勝できずに歯がゆいこともありましたが、辛抱強く稽古に精進してやってきたことで初の賜杯に手が届いたと思います。今場所は特に精神的に落ち着いていました。立ち合いではどっしりと構えて、動じることなく、迎え撃っていました。これまでは立ち合いで合わずに慌てることもありましたが、自分の呼吸で立っていたと思います。

 そして、技術的には左からのおっつけが良かったです。大関に上がってくるときにも左おっつけがあればこそでした。大関に上がってからはどうしても左四つになりたいがため、右上手を取りにいったり、左を差しにいったりと相撲に迷いがあったと思います。もともとは突き押し相撲が基本の力士です。昨年の年間最多勝を獲れたのも左からおっつけてからの攻めが良かったから。8日目の隠岐の海戦では危ない場面もあり、9日目には琴奨菊に不覚をとりました。しかし、それでも14日目の逸ノ城戦では左おっつけから攻めて白星をもぎ取りました。いい相撲だったと思います。

 千秋楽の白鵬戦では右張り手から土俵際に押し込まれたのですが、優勝した勢いがあったからこそ残れたと思います。あれは稽古のたまものです。巡業中もしっかりと土俵に上がり稽古をしていました。基本の四股も冬巡業などではアドバイスしました。脚が長い稀勢の里ですが、もっと腰を割ることで重心が下がり、安定感が生まれます。

 いよいよきょう23日、横綱審議委員会に諮問され、25日に臨時理事会が開催されます。まだ決定ではありませんが横綱になった場合は、稀勢の里本人が自分の形である左おっつけを磨き、もう一つ下半身を落として攻めれば、取りこぼしがもっと少なくなります。そのためにも下半身を鍛えることです。私は基本運動の反復を怠らずにやることで横綱の地位を守ってきました。稀勢の里にもぜひ同じように基本を大事に精進してもらい、国技相撲の伝承者として頑張ってほしいです。 (元横綱・貴乃花)

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2017年1月23日のニュース