内山久美“倍返し”初V 元銀行員プロ転向5年…「最高の1日」

[ 2016年5月30日 05:30 ]

優勝カップを手にする内山

第4回マイナビシニア&レディースカップ最終日

(5月29日 千葉県柏市 藤ケ谷カントリークラブ=男子6884ヤード、女子レギュラー6349ヤード、女子レジェンズ5829ヤード、いずれもパー72)
 男女プロが同組で回る異色の混合戦で争われ、6位から出た内山久美(36=松辰)が4バーディー、2ボギーの70で回り通算4アンダーとし、水巻善典(57=鳴尾GC)と首位に並びカウントバック方式で優勝が決まった。プロ初優勝で優勝賞金200万円を手にしたのに加え、女子レギュラーの部優勝の特別賞50万円とNOBUTA GROUP マスターズGCレディース(10月20日開幕、兵庫・マスターズGC)出場権を獲得した。通算2オーバーの白戸由香(46=日立ソリューションズ)が女子レジェンズ(45歳以上)の部を制した。

 先にホールアウトしていた内山は、優勝決定の知らせを聞き「優勝は初めて。賞金もらえるんですね」と笑みを浮かべた。そして同組で回った加瀬から祝福の抱擁を受けると「優勝できたし、加瀬さんにハグしてもらえたし、最高の一日です」と喜びを爆発させた。

 首位に3打差の6位から出て3番で2メートルを沈め、6番パー3は6Uで20センチに付けてバーディー。10、12番は3メートルのチャンスを生かした。15番以降の4ホールはパーオンを逃しながら寄せワンでパーを拾った。スタート時間の2時間半近く前の午前6時にコース入り。アプローチ練習に時間を割いた。その成果が表れ「出球の高さも転がる距離もイメージ通りに打てた」と満足げに話した。

 同組の加瀬は憧れの人。初対面した2年前のパーティーでサインをねだったほどだ。ラウンド中は緊張のため目を合わせることができなかったが「加瀬さんのプレーをずっと見ていた。モチベーションが上がった」と充実のラウンドになった。

 学生時代はゴルフと無縁。立大では金融の勉強に没頭し卒業後は大手都市銀行の東京三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)に女性では珍しい総合職で採用された。神田支店に配属され法人相手の営業の仕事を任された。

 転機は25歳。友人と都内の練習場で初めてクラブを振った。その練習場のテレビで不動裕理が優勝した映像を見て「プロゴルファーは出来高。自分で稼ぐのもいいな」とひらめいた。2カ月後には銀行を辞めて練習場のアルバイトになりプロゴルファーを目指した。

 31歳でプロテストに合格したものの生涯獲得賞金は0円。「同期は米国や欧州で活躍している。銀行にいればどうだったかなと思うこともある」。だが「ゴルフを始めたのも、プロになったのも遅いから伸びしろがある」と選んだ道を歩いていく気持ちは変わらない。

 今季はまだレギュラーツアーの出場はないが、6月3日開幕のヨネックス・レディース(新潟)、9月のゴルフ5レディース(北海道)に主催者推薦で出場予定。さらにマスターズGCレディース出場権も得た。「きょうのように一打に集中して、まずは予選を通過したい」と真っすぐに前を向いた。

 ◆内山 久美(うちやま・くみ)1980年(昭55)4月2日、千葉市出身の36歳。千葉女子高から立大を経て東京三菱銀行入行。25歳で退職し、都内のゴルフ練習場のアルバイトに。翌年に千葉・アクアラインGC入り。キャディーをしながら練習を続け、11年7月プロテストに3回目の挑戦で合格。12年日医工女子オープンでツアーデビュー。レギュラーツアーは過去6試合に出場し予選通過はない。1メートル64、55キロ。

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