マゲつかんだ?物言いもセーフで白鵬が流血V4

[ 2013年9月29日 06:00 ]

取組を終え、流血に気付く白鵬

大相撲秋場所14日目

(9月28日 東京・両国国技館)
 あわや反則負けのヒヤヒヤVだ。優勝へあと1と迫っていた横綱・白鵬(28=宮城野部屋)は大関・稀勢の里(27=鳴戸部屋)との激闘を制して13勝1敗。千秋楽を待たずに4場所連続27回目の優勝を決めた。はたき込んだ際に、相手のマゲに手がかかって物言い。横綱としては03年名古屋場所の朝青龍以来の史上2人目の反則負けの危機となったが、事なきを得た。秋場所の優勝は5度目となり単独3位。14日目までの優勝決定回数は、朝青龍に並ぶ史上2位タイとなった。

 縦にパクリと割れた白鵬の左眉。したたり落ちる血が白い肌を染めていった。稀勢の里との激闘の跡。勝ち名乗りも受け27回目の優勝が決まったかに思えたその時だった。満員札止めの館内が騒然となった。

 審判から「物言い」。はたき込んだ際に、白鵬の右手が相手のマゲに触れていた。横綱が反則負けとなれば、長い大相撲史上で2人目の不名誉な記録となる。土俵下で、静かに朝日山審判部長(元大関・大受)の説明を待った。判定は軍配通り。白鵬は信じていた。

 「もしかしたら手が引っかかったのかなと。でも(その)感覚はなかった。満員のお客さんを満足させたかった。先場所、やっぱり悔いが残った。(稀勢の里に)負けてしまったというのはありました。実力者に勝っての優勝は満足です」

 同じ轍(てつ)は踏まない。呼吸が合わずに大関が「待った」。連勝を43で止められた名古屋場所の対戦は、これで頭に血が上った。2度目で立ったが、相手得意の左四つ。でも、慌てず左からのすくい投げで崩した。体が離れると強烈な右張り手を食らった。ここでもカッとならず、相手が前に出てくるところを冷静にはたき込み。「経験じゃないですか」と淡々と言い放った。師匠の宮城野親方(元幕内・竹葉山)も「先場所の(敗戦の)後、“熱くなってしまった”と反省していた。冷静にいければ大丈夫」と証言。苦い経験は生かされていた。

 全盛期は過ぎていることは実感している。場所中の飲酒は控え、痛めている腰は朝と取組後の2度マッサージで治療。稽古も前半はセーブし、13日目と14日目は非公開にして入念に行うなどメリハリをつけた。

 支度部屋では、出血を拭きながら「勝利の勲章!男前が台無しだよ」と笑ってみせた。14日目までのV決定は14度目で朝青龍に並び史上2位。来場所も千秋楽を待たずに優勝を決めれば、千代の富士の15回に並んで史上1位となる。貪欲に記録を塗り替える男の辞書に「不可能」という文字はない。

 ▼北の湖理事長(元横綱)白鵬は(優勝回数で)千代の富士さんの31回、大鵬さんの32回が手の届くところにきている。それを目指していけばいい。

 ▽禁手による反則負け 相撲規則に「禁手反則」の8項目が文章化されたのは55年5月。内容は「(1)握り拳で殴ること(2)髪を故意につかむこと(3)目または水月等の急所を突くこと(4)両耳を同時に両手で張ること(5)前立褌(まえたてみつ)をつかみ、横から指を入れて引くこと(6)ノドをつかむこと(7)胸、腹を蹴ること(8)一指または二指を折り返すこと」。00年夏場所には三段目・朝ノ霧が、自身の前まわしが緩んで反則負けした例もある。

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2013年9月29日のニュース