天国の田子ノ浦親方に捧ぐ 愛弟子が幕下、序二段優勝

[ 2012年3月24日 06:00 ]

鬼嵐(左)を押し倒しで破り幕下優勝を決めた海龍

大相撲春場所13日目

(3月23日 大阪府立体育館)
 2月13日に虚血性心不全で急死した元幕内・久島海の田子ノ浦親方(本名・久嶋啓太、享年46)が育てた愛弟子が大活躍している。田子ノ浦部屋に所属していた8力士は出羽海部屋と春日野部屋に分かれて転籍したが、13日目に幕下の海龍(出羽海部屋)と序二段の碧己真(春日野部屋)がともに7戦全勝で各段優勝を決定。三段目の碧の正(出羽海部屋)も全勝を守って優勝決定戦につなげた。

 海龍は鬼嵐を一方的な攻めからの押し倒しで圧勝。「特別な思いがありました。(親方からは)とにかく押して突いていけと言われ続けた。今でも思い出します」と目を潤ませた。来場所は関取昇進が懸かる幕下上位まで番付が上がる。場所後は墓前に報告する意向だが「“まだまだ。来場所が大事”と言われると思う」と亡き恩師の教えを忘れないことを誓った。

 碧己真は序二段を制した後、上を見上げ「親方の顔が浮かんできた」と感慨深げ。碧の正は「親方が生きていてくれたら」と遠くを見やった。元田子ノ浦勢は8人中6人が既に勝ち越し。現時点で勝率は7割を超えている。突然、命を失った師匠の思いが乗り移ったかのような快進撃。ずらりと並んだ白星は何よりの供養になるはずだ。

 ◆海龍 玄気(かいりゅう・げんき)本名・山田元紀。1990年(平2)3月1日、和歌山県海南市出身の22歳。05年春場所初土俵。得意は突き押し。家族は両親に兄。1メートル78、135キロ。血液型A。出羽海部屋。

 ◆碧己真 己樹(あおきしん・みき)本名・西山己樹。1989年(平元)6月10日、大阪市生野区出身の22歳。08年春場所初土俵。家族は母、姉、妹。得意は突き押し。1メートル73、120キロ。血液型O。春日野部屋。

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2012年3月24日のニュース