鶴竜、大関昇進に「王手」 審判部からは「当確」声も

[ 2012年3月24日 06:00 ]

琴奨菊(左)を上手出し投げで仕留めた鶴竜。賜杯争いで単独トップに立った

大相撲春場所13日目

(3月23日 大阪府立体育会館)
 大関獲りの関脇・鶴竜は大関・琴奨菊を下して12勝目を挙げ、昇進の目安の3場所合計33勝まであと1勝とした。大関昇進の判断を委ねられている審判部からは、早くも「当確」の声が上がった。優勝争いで並走していた横綱・白鵬は大関・稀勢の里に押し出されて2敗に後退。1敗を守って単独トップに立った鶴竜は24日にも初優勝を決める可能性が出てきた。
【取組結果】

 勝ち残りで東の控えに腰を下ろした鶴竜は自らが優勝争いの単独トップに立つ瞬間を肉眼で見届けた。それでも表情は変えない。座布団が舞う花道を小走りで抜け、支度部屋に戻っても頬を緩めない。「余計なことを考えず、自分の相撲に集中したい」。昨年秋場所から大関昇進を逃し続けてきただけに、いかなる状況でも自身の取組に集中するよう心掛けている。

 その成果が出たのが、ここまで8勝11敗と分の悪かった琴奨菊戦だ。相手得意の左四つを許したが、すぐに右を巻き替えてもろ差しに。相手が左巻き替えにきたところでタイミングよく体を開き、右上手出し投げ。「右四つになるのは難しいと思って巻き替えを早くしようと。自分の相撲を取れました」。師匠・井筒親方(元関脇・逆鉾)譲りの技量を存分に発揮。大関昇進で先を越された相手を土俵にはわせた。

 昇進目安の3場所33勝に王手をかけた。14日目に琴欧洲に勝ち、白鵬が日馬富士に敗れれば初優勝も決まる。今場所の12勝には横綱の白鵬、綱獲りを狙っていた把瑠都ら3大関が含まれており、大関昇進の判断を委ねられている審判部は充実の内容を高く評価。鏡山審判部長(元関脇・多賀竜)は千秋楽の25日に昇進問題を協議する会議を開く意向を示し「相撲内容が安定している。申し分ない。もう大関相撲。当選ではないが、選挙なら当確だな。だいぶ手繰り寄せただろう」と早くも大関昇進を示唆した。昨年の九州場所後には稀勢の里が3場所32勝で昇進した例もあり、ムードは高まっている。

 それでも大関候補は笑みを封印している。「あまり喜ばず、気を引き締めていきたい」。言葉通りに残り2日間も平常心を保てれば、初優勝&大関昇進と二重の喜びが訪れる。

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2012年3月24日のニュース