久保谷9年ぶりV!39歳パパ愛娘の願い叶えた

[ 2011年10月10日 06:00 ]

9年ぶりの優勝を決め、長男の天祐君(中)、長女・真帆ちゃん(手前)に祝福される久保谷。後方は立山

キヤノン・オープン最終日

(10月9日 神奈川・戸塚CC西コース=7168ヤード、パー72)
 久保谷健一(39=フリー)が、愛娘の願いをかなえ、02年のマンシングウェアKSB以来9年4カ月ぶりのツアー5勝目を挙げた。首位タイから出て1イーグル、2バーディー、1ボギーの69で回り、通算14アンダーで逃げ切った。今季ツアー初勝利を狙った石川遼(20=パナソニック)は、72とスコアを伸ばせず、通算11アンダーで5位に終わった。
【最終R成績】

 スーパーショットがVロードを切り開いた。3番パー4。残り85ヤードからSWで振り抜いた久保谷の第2打は、ピン奥1メートルに落下。バックスピンで戻り、そのままカップに沈んだ。圧巻のイーグルだったが、ここからがいつも“後ろ向き”の久保谷らしい。同組の立山がハイタッチを求めても「寄っただけでしょ」と半信半疑で応えようとしない。立山が「お前なんかもういい」とぷいっと背を向けると、「ちょっと待ってくださいよ」と慌てて追いかけギャラリーの笑いを誘った。

 この時点で単独首位に立つも「ショットが何やっても左に行った。ひたすら耐える1日」と我慢のゴルフを強いられた。18番で第2打を打った後に石川に「(昨年Vの)横田さんもイーグルを取った3番の時点で、流れは決まってたんですよ」と言われ「それ3番で言ってよ。どれだけ苦しんだか」と苦笑いしながら返した。

 父として大きな仕事をやってのけた。長女・真帆ちゃん(6)が8月にイルカに「お父さんが優勝しますように」と祈る絵本を作った。それを読んだ久保谷は不振だったこともあり「ごめん、実現したいけど無理だな」と涙を流し謝ったという。この日は都内の自宅からその愛娘と長男・天祐=てんゆう=君(11)、久美子(35)夫人も応援に駆けつけた。「プレー中は子供を見る余裕はなかった」が、ホールアウト後、家族の祝福を受けると満面に笑みを浮かべた。

 9年ぶりの勝利にも「七不思議。内容は初日から良くない。タナボタとしか感じられない」と相変わらずのぼやき節。ただ、「体が動いた9年前に比べて技術は落ちたかもしれないけど、試合を投げないし気持ちは強くなった」と39歳ならではの自負を見せた。諦めていた次戦の日本オープンの出場権も獲得。「えっ、本当?家族旅行を考えていたのに」と言いながら、メジャーでも父の存在感を示すチャンスを喜んだ。

 ◆久保谷 健一(くぼや・けんいち)1972年(昭47)3月11日、神奈川出身の39歳。10歳でゴルフを始め、明治大学を経て95年プロ転向。97年のフジサンケイ・クラシックで初優勝。ツアー4勝。03年に1年だけ米ツアーに参戦。生涯獲得賞金5億3754万2292円。1メートル74、70キロ。血液型B。

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