内村耐えた!日本33年ぶりV奪回へ暫定首位

[ 2011年10月10日 06:00 ]

跳馬で華麗な演技を見せた内村はガッツポーズ

体操世界選手権第3日

(10月9日 東京体育館)
 これがエースの意地だ。男子団体総合予選で、33年ぶりの金メダルを狙う日本は、合計364・291点をマークして暫定トップに立った。内村航平(22=コナミ)は両ふくらはぎに不安を抱えながら、個人総合でも暫定トップの92・256点でチームをけん引。床運動で田中佑典(21=順大)が脳振とうを起こし演技途中でリタイアするアクシデントがあったが、エースが大黒柱としての役割を果たした。世界大会4連覇中のライバル・中国は、10日に予選を行う。

 体操ニッポンを背負う責任感を6種目全てに込めた。最終種目あん馬の着地を決めた内村が、スタンドに向かって右拳を突き上げる。ミスもアクシデントもあった。それでも、日本の合計364・291点は、昨年優勝の中国の予選得点362・482点を上回った。内村も個人総合で昨年のVスコア92・331点に匹敵する92・256点をマーク。「きょうできることは全てできた」と振り返った。

 5日の公式練習でつった両ふくらはぎの不安は、本番を迎えても消えていなかった。患部を気にしながら助走した2種目目の跳馬は、着地で両膝をつくミス。4種目目・鉄棒の演技前練習では、「(ふくらはぎが)つった!つった!!」と叫んでマッサージを受けた。続く床運動でさらなるアクシデントが日本を襲う。3番手・田中佑が演技中に首付近を強打し、脳振とうを起こして演技を取りやめた。チームに動揺が走る中、内村も苦境に陥っていた。

 両ふくらはぎは暴発寸前だった。「鉄棒が終わってから床運動ができるか分からないくらいだった」。初めてアップを一切しなかったが、ほぼノーミスでまとめ、あん馬ではチームメートに懸命に声援を送った。「いつもより声を出した。“落ちないようにお願いします”みたいな感じで」。演技で引っ張るだけがエースじゃない。精神的支柱としての役目も果たした。

 団体総合は、かつて日本が世界大会10連覇を達成したお家芸。史上初の3連覇が懸かる個人総合よりも、内村には団体での33年ぶりV奪回への強い意欲がある。12日の決勝では確実性を優先し、跳馬の難度を落とす予定だ。「ミスは出たけど、決勝のための失敗と思って切り替えていきたい」。両足に残る不安は魂で封じ込める。体操ニッポンが黄金の輝きを取り戻すために――。

 ▼立花泰則男子監督 出だしのつり輪でまとめられたのがよかった。とりこぼした種目は修正したい。床運動と跳馬で(中国に対し)リードを保つのが日本の戦略。決勝では最後の鉄棒の内村に託せる状況をつくりたい。

 ▽ロンドン五輪への道 団体総合の出場枠は12。まず今大会で予選を通過した8カ国が出場枠を獲得。今大会の9~16位は12年1月にロンドンで開催される最終予選で残る4枠を争う。個人総合は五輪の団体総合出場を決めた12カ国計60人に出場枠が与えられる。今大会の団体総合17~24位の国から1カ国2人までが獲得するなどし、男女ともに出場人数は最大96人。今大会の成績で日本代表内定はなく、来年の国内選考会で選出される。

 ▽団体総合 女子は跳馬、段違い平行棒、平均台、床運動の4種目、男子は床運動、あん馬、つり輪、跳馬、平行棒、鉄棒の6種目で行われる。予選は登録メンバー6人の中から5人が演技し、上位4人の合計点で順位を決定。上位8カ国が進出する決勝は予選の得点を持ち越さず、登録メンバー6人のうち3人が演技して3人の合計点で争う。団体総合の予選は個人総合と種目別の予選も兼ねる。

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2011年10月10日のニュース