大相撲消滅の危機!13人が八百長関与か?

[ 2011年2月3日 06:00 ]

緊急理事会に呼び出された翔天狼

大相撲八百長疑惑

 大相撲の野球賭博問題に絡み、警視庁が力士らから押収した2台の携帯電話に「立ち合いは強く当たって流れでお願いします」「では流れで少しは踏ん張るよ」などと日常的に八百長相撲を行っていたことをうかがわせるメールの記録が残っていたことが2日、明らかになった。日本相撲協会は同日、東京・両国国技館で緊急理事会を開き、八百長疑惑がかけられた力士と親方の計13人のうち12人から事情を聴いた。協会は特別調査委員会を新設し真相究明を目指すが、事態は野球賭博以上に深刻。角界の根幹を揺るがす不祥事で、大相撲がついに消滅の危機に立たされた。

 大相撲がかつてない大激震に見舞われた。昨年夏に起きた野球賭博事件で警視庁が力士から押収した携帯電話のメールから「今日はコケだよ。昨日お願いされたからとりあえずコケます」などと、昨年3~6月に送受信された八百長相撲を疑うに足りる“動かぬ証拠”が出てきた。

 事態を重く見た日本相撲協会はこの日午後1時から緊急理事会を開き、メールに名前の挙がっていた13人のうち遠出をしていた霜鳳を除く12人を両国国技館に呼んで事情聴取。この日の調査では事実確認はできなかったが、八百長の事実が確認されれば解雇以上の処分が下されるのは必至の情勢となった。理事会後の会見で放駒理事長(元大関・魁傑)も「(事実が判明すれば)厳罰でしょうね。軽くはないでしょう。ファンの方を裏切ったわけですから」と厳しい口調で言い放った。

 放駒理事長はこの日午前に監督官庁の文部科学省に呼び出され、事実関係を調査するよう厳命された。これを受けて午後の理事会では特別調査委員会を立ち上げ、真相究明に乗り出した。会見では「大変憤りを感じ、心苦しく思っている。協会トップとして、相撲協会を代表してファンの皆さまに心からおわび申し上げます」と謝罪。初場所初日に「相撲協会新生」のスローガンを掲げただけに「大変残念なこと。相撲の根幹を揺るがす問題だ」と声を震わせた。

 放駒理事長は今回の八百長疑惑について「過去には一切なかったことで、新たに抱えることだと認識している」とあくまでも突発的な問題であることを強調した。降って湧いたように映る今回の騒動だが、その一方で、ある中堅親方が昨年7月の野球賭博騒動の時点で「今よりも、もっと大変な事態になるかもしれない。携帯電話から“あの問題”が出てくれば」と今回の問題発覚を危惧していたことも見逃せない。相撲協会は公益財団法人の認可を目指し本格的に動きだしているが、文科省からは「こういう問題が出ると(認可は)厳しいですよ」と叱責(しっせき)されたという。ある親方は「このままでは公益法人など到底無理なことだ」と顔をしかめた。

 1カ月後には春場所の初日を控えているが、もはや本場所開催どころか相撲協会の存続も危ぶまれる緊急事態。文科省は「存亡の危機」と厳しい見解を示したが、「全く私もその認識です」と放駒理事長。その苦渋に満ちた表情が国技の崩壊危機を如実に示していた。

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