あと1年 バンクーバーに経済不況の影

[ 2009年2月12日 06:00 ]

五輪への準備が着々と進むバンクーバー

 2010年バンクーバー冬季五輪は来年2月12日(日本時間同13日)に開幕する。本番までちょうど1年となった現地では、競技会場などが着々と完成。世界的な経済不況の影響も出る中、各競技のテスト大会が開催され、12日には各種イベントも開催予定と、五輪ムードが徐々に高まっている。現地の今を探った。

 2月は大半が雨と言われるバンクーバーは今、曇天の下で急ピッチでの五輪準備に追われている。市内を中心としたスケート系の競技会場は、19日にオープンするカーリング会場ですべてが完成。北米最高級のリゾート地とされるスキー会場のウィスラーは、全競技場が完成してテスト大会が花盛りだ。市内から約120キロ離れたウィスラーへの道だけでなく、市内の道路も各所で整備が行われており、普段は渋滞が少ない街にクラクションが鳴り響いている。
 お祭りムードの半面、昨年からの世界的な経済不況も開催準備に影を落としている。五輪景気を当て込んで市内に巨大ショッピングセンターを建設していた米国の会社は、ビル建設を一時的に凍結。昨年12月に五輪組織委員会が公開した予算書は市民からブーイングが起きて見直しを迫られ、より予算を削減する方向になったという。資金難から、「カナダライン」と命名された市中心部から空港方面への鉄道は、五輪前の完成を目指しながら工事が遅れ気味だ。
 市民の間では「(建設などが始まった)2年前に比べ、最近は不安の方が大きい」という声もある。一方で、開催に心躍らせているのが2万5000人を超える日系人コミュニティー。移民開始から100年が過ぎて結びつきが乏しくなっており、五輪を契機に団結の機運が高まるのではと期待する。日本人居住者の1人は「浅田真央選手はカナダでも有名。選手団のサポートや応援を通じて、コミュニティーに活力がわき起こるとうれしい」と話した。
 

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2009年2月12日のニュース