時津風部屋の力士暴行死 元親方が弟子への指示否認

[ 2009年2月12日 11:02 ]

時津風部屋力士暴行死事件の元親方の初公判で、亡くなった斉藤俊さんの遺影を抱えて名古屋地裁に向かう父正人さん

 大相撲時津風部屋の序ノ口力士、時太山=当時(17)、本名斉藤俊さん=の暴行死事件で、傷害致死罪に問われた元親方山本順一被告(58)の初公判が12日、名古屋地裁(芦沢政治裁判長)で開かれた。山本被告は斉藤さんをビール瓶で殴ったことを認め遺族に謝罪したが、罪状認否で「兄弟子に暴行を指示したことはない。ぶつかりげいこは制裁目的ではない」と起訴事実を否認した。

 入門間もない弟子が亡くなった暴行に当時の親方がどのようにかかわったか、司法の場で解明が始まった。
 検察側は冒頭陳述で、愛知県犬山市の部屋の宿舎から斉藤さんが逃げたことに山本被告が立腹し、「おまえらも教えてやれ」と兄弟子らに暴行の指示をしたと指摘した。その後も斉藤さんが優柔不断な態度を取り続けたとして憤慨し、罰として過酷なけいこである「ぶつかりげいこ」も指示したと述べた。
 一方、山本被告は部屋の管理責任はあったと認め、弁護側は傷害致死罪ではなく、業務上過失致死罪の適用が妥当だと主張。冒頭陳述で「兄弟子らの殴るけるの暴行は元親方の指示ではなく、兄弟子独自の判断。ぶつかりげいこには痛めつける意図はなく、『力士の力量、技量の向上』という正当性があった。ビール瓶で殴るなどの行為は死因につながる暴行にならない」とした。
 名古屋地裁は昨年12月、傷害致死罪に問われた兄弟子3人の判決公判で「親方の指示で暴行が行われた」と認定している。
 起訴状によると、山本被告は兄弟子ら=執行猶予付きの有罪判決が確定=と共謀。2007年6月25日、山本被告は夕食の席で斉藤さんをビール瓶で殴った後、兄弟子に指示して斉藤さんを木の棒で殴るなどの暴行を加えた。翌26日には、約30分間ぶつかりげいこと称して斉藤さんを土俵にたたきつけ、金属バットで殴るなどして多発外傷性ショックで死亡させた。

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2009年2月12日のニュース