時天空 逮捕3力士「かわいそう」

[ 2008年2月10日 06:00 ]

幕内土俵入りで手を振る琴欧洲(左端)笑顔の安馬(左から2人目)とは対称的に厳しい表情で土俵入りする時天空(左から3人目)と豊ノ島

 時津風部屋の傷害致死事件で、同部屋の関取3人が9日、東京・両国国技館で行われたNHK福祉大相撲に参加。前時津風親方の山本順一容疑者(57=元小結・双津竜)ら4人が逮捕されて以降、初めて公の場に姿を見せた。部屋頭の幕内・時天空(28)は逮捕された3力士について「かわいそう」と語るなどショックを隠しきれない様子。時津風親方(元幕内・時津海)は3力士との面会を希望した。

【時太山暴行事件


 場所中とは違って穏やかな雰囲気に包まれる支度部屋で、時津風部屋の関取だけは沈んでいた。大勢の報道陣に囲まれた幕内・豊ノ島は「残念は残念です。部屋の雰囲気は軽くないです」と険しい表情で力士の声を代弁した。愛知県警捜査本部の調べに対し、逮捕された力士の1人は「自分が手を出してこんなことになった。やめればよかったが、親方は絶対の存在で逆らえなかった」と供述している。部屋頭の時天空は「(逮捕された)3力士がかわいそうでもある。自分が何とかしてあげられることができれば」と思いを吐露した。
 前親方と所属力士3人が逮捕された7日から部屋の前は大勢の報道陣でごった返した。その影響で翌8日の稽古を非公開にするなど、相撲に集中できない日が続いている。豊ノ島は「今は相撲に集中していくしかないです。早く稽古に打ち込める環境になればいいですが…」と、伏し目がちに国技館を後にした。
 師匠の時津風親方は逮捕された弟子3人に対し「少し時期を置いてから面会に行きたい」との意向を明らかにした。同親方は「面会しても、ちゃんと顔を見られないかもしれない」と戸惑いながら、日本相撲協会から処分が出る前に3力士を引退させることは「絶対にない」と語った。逮捕された3力士の家族からは連絡が絶えず「家族には何と説明していいのか。自分としても何かしてやりたい気持ちです」と苦しい胸の内を明かした。
 幸い、大阪と名古屋場所の宿舎は昨年までの場所を使用できることになった。世間の厳しい視線を浴びる道のりが待っているが、残った力士らは名門を守るため相撲道に精進するしかない。

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2008年2月10日のニュース