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国見 天国の小嶺元監督に届けた13大会ぶり勝利 木藤監督「止まった時間を動かしたかった」

[ 2022年12月30日 06:00 ]

第101回全国高校サッカー第2日・1回戦   国見1―1北海(PK6―5) ( 2022年12月29日    ニッパツ )

<北海・国見>PK戦で北海に勝利し喜ぶ国見イレブン(撮影・西尾 大助)
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 1回戦15試合が行われ、12年ぶりに出場した国見(長崎)が北海をPK戦の末に下し、2回戦に進出した。木藤健太監督(41)は今年1月に死去した名将の小嶺忠敏元監督の教え子。“小嶺魂”を継承する一方、伝統の丸刈りをやめるなど自主性を重要する「新生国見」として天国の恩師に白星を届けた。

 伝統が詰まった黄色と青のストライプユニホームが歓喜の輪をつくった。GK今村泰斗(3年)がPK戦で7本目を右手でセーブ。12大会ぶり出場の国見が13大会ぶりの勝利を挙げ、天国の小嶺さんに弔い星を送った。

 試合後、木藤監督は少しだけ視線を上げ、「12年は干支(えと)が1周するくらい長い年月。いろんな方に“国見というチームが昔はあったな”と思われていたはず。止まった時間を動かしたかった」と胸を張る。スタンドには「古豪復活」の横断幕。ようやく時が動いた瞬間だった。

 前半には“小嶺魂”が浸透した守備が光る。自陣付近で4本連続シュートを浴びながらDFが体を張ってブロック。今村は「シュートに対して下がらず、キーパーに触らせないでDFが全部守れと言われている」と説明。小嶺さんがつくり上げ、伝統として今も残る執念の守りが、全国の舞台でよみがえった。

 継承と進化。小嶺さんの教え子である木藤監督は「新生国見」の一環として部員の丸刈りをやめ、携帯電話を解禁。後者は即効性があった。前半37分に均衡を破った利根(としね)悠理(3年)は海外サッカーのゴール集をスマートフォンで研究。ウルグアイ代表でリバプールFWヌニェスに憧れ「万能型で起点にもなれ、得点できる。自分も海外で活躍できる選手になりたい」と向上心を持ち、重い扉をこじ開けた。

 苦しみながら、つかんだ特別な1勝。「小嶺先生からは“もっともっとやらんか”と怒られると思う。でも、次に進めるのでまた見てもらいたいです」と木藤監督。時代を融合させた名門が、新たな歴史を刻んでいく。(福井 亮太)

 ▽国見 1967年(昭42)に島原高から独立して創立。島原半島に位置し、雲仙・普賢岳と有明海に挟まれる。サッカー部も67年に創部され、故・小嶺忠敏監督の指導のもと選手権は戦後最多6度、高校総体5度、全日本ユース2度制覇。主なOBは元日本代表の大久保嘉人、永井秀樹、高木琢也、平山相太、三浦淳宏、徳永悠平ら。

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2022年12月30日のニュース