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アルゼンチン500万人熱狂 W杯Vパレード打ち切り…メッシらヘリで脱出

[ 2022年12月22日 04:50 ]

FIFAワールドカップカタール大会

熱狂した大勢のファンに囲まれて凱旋パレードを行うアルゼンチン代表(AP)
Photo By AP

 W杯カタール大会で36年ぶり3度目の優勝を達成したアルゼンチン代表が20日、首都ブエノスアイレスを凱旋パレードした。500万人以上が沿道で熱狂する事態に主将のリオネル・メッシ(35=パリSG)らを乗せたバスは市内中心部に到達できず、途中からイレブンがヘリコプターに乗り換える事態に発展。歴史的な偉業を祝うセレモニーは大混乱で終わった。

 現地時間午前11時23分に始まった凱旋パレード。イレブンが20日未明の帰国後に首都郊外で仮眠を取ったサッカー協会の施設からブエノスアイレス中心部を回って74キロを8時間で往復する予定だったが、予想を上回る熱狂の渦にのみ込まれた。

 地元メディアによれば、ブエノスアイレス中心部の大通りにある記念塔「オベリスコ」に100万人以上が集まった18日の優勝決定後をはるかに上回る500万人以上が沿道で待機した。ファンの一部は2階建ての屋根なしバスに乗ったメッシら選手に近づこうと電柱や道路標識によじ登り、バスにも接近。危険な振る舞いに何度も立ち往生を強いられた。

 挙げ句の果てに、バスがくぐり抜けようとした陸橋からファン2人がジャンプ。1人はイレブンのど真ん中に飛び込み、もう1人はバス後部に当たって道路に落下した。「かたつむりのよう」と報じられたパレードは4時間で12キロしか進まず、警備上の問題もあって前代未聞の“ルート変更”が行われる事態になった。

 大統領報道官は「歓喜の爆発で地上でパレードは続けられなくなった。世界王者たちはヘリコプターでルート上空を飛ぶ。平和に祝い続けよう」と発表。結局、市内中心部に入ることなくルートをそれたバスは郊外の警察学校で停車し、イレブンはヘリコプターに分乗した。予定されたルートの上空を飛び、オベリスコにも向かったが、地上から機内の選手が見えるはずもなく、沿道で待ち受けた大多数の国民が“我らが英雄”の姿を見ることなくパレードは事実上の打ち切りになった。

 サッカー協会のタピア会長は「オベリスコの人々にあいさつに向かうことが許されていない。選手に代わって深くおわびする」とツイート。しかし、広場に残された一部ファンは夜になって投石するなど警官隊と衝突した。大規模な暴動は避けられたようだが、少なくとも31人が負傷したという。政府はこの日を祝日とすることを前日に決定。現地では試験や手術の延期を強いられた例も報じられ、準備不足で大混乱を伴う祝賀行事となった。

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