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【歴代担当記者が見たオシムさん】未来を予見していた「GK松田」

[ 2022年5月3日 05:30 ]

イビチャ・オシム氏を悼む

07年、ナビスコ杯の川崎F―横浜で、GK松田直樹(手前)がボールを処理する
Photo By スポニチ

 日本代表監督時代の07年10月。オシム氏がナビスコ杯川崎F―横浜戦を視察した時の話だ。「一番の発見は横浜のGK。新しい形のGKのヒントが隠されていました」。知将の目に留まった横浜のGKとは実はDFの松田直樹。守護神の退場を受け、急きょ、キーパーグローブをはめた。

 松田は攻撃時には積極的に組み立てに関わった。また相手の速攻にはペナルティーエリアを飛び出しクリア。本来リベロの松田にとっては当然のプレーだったが、それから15年。今やGKはシュートストップなど守備だけの役割ではない。ビルドアップ能力、広いエリアをカバーできる走力も求められ攻撃の起点にもなる「新しい形」となった。

 オシム氏は時間を忘れるほど「数字パズル」が好きだった。サッカーに対しても進化、未来形を予想し、最適解をはじき出していた。今後、日本の、世界のサッカーはどこに向かうのか。もう、示唆に富んだ言葉を聞けないと思うと残念でならない。(98~07年サッカー担当・内藤 博也)

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2022年5月3日のニュース