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中村憲剛という男 並外れた発信力 激闘後に見せる冷静なる“口達者”ぶり

[ 2020年11月1日 15:57 ]

川崎Fの中村憲剛
Photo By スポニチ

 サッカーのJ1川崎Fの元日本代表MF中村憲剛(40)が1日、今季限りで現役を引退することを発表した。18年のプロ生活にピリオドを打つ決断を下した川崎Fのレジェンド。中村を担当したスポニチ本紙記者が、その素顔を語った。

 それほど取材歴が長い訳ではないが、後にも先にも憲剛ほど良い意味で“口達者”な選手に出会ったことがない。川崎F担当になる以前にも日本代表で囲み取材に参加したことはあったが、17年から担当記者になって改めてその巧者ぶりに驚かされた。

 試合であれだけアドレナリン全開のプレーを披露しておきながら、試合後のミックスゾーンでは何事もなかったかのように冷静かつ沈着にゲーム内容を振り返る。その言葉のひとつひとつがまた端的で、「あ、なるほど!」と謎が解けたように分かりやすい。記者にとってこれほどありがたいことはない。

 さらに驚かされたのが、記者側が引き出したいコメントを瞬時に嗅ぎ分け、非の打ちどころのない返答をしてくれる点だ。しかもその言葉は常にユーモアに溢れ、ときにはそうは問屋が卸さないとばかりに「こういうことを聞きたいんでしょ?」と見透かされてしまうから、良い意味で覚悟して取材に臨まないといけないのが憲剛だった。

 「天は二物を与えず」などと良く言われるが、憲剛に限ってはそれは当てはまらない。そう強く思わされるほど、その発信力は並外れていた。そんな偉大なレジェンドの現役最後の姿を見届けられたのは、まさに記者冥利に尽きる。

 引退後は指導者になるのだろうか。それこそ解説者としては「引っ張りだこ」となるだろう。憲剛の“第2の人生”も、きっと現役時代と同じくらいキラキラと輝いたものになると確信している。(17年~川崎F担当・垣内 一之)

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2020年11月1日のニュース