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ビリャレアル番記者 久保への期待、起用構想語る 黄金期再来へ自由に羽ばたくことができる

[ 2020年8月11日 22:00 ]

入団会見後、本拠地のピッチでビリャレアルのユニホーム姿の久保建英はリフティングを披露(撮影・江間慎一郎通信員)
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 スペイン1部レアル・マドリードから同ビリャレアルへ1年間の期限付き移籍が決まった日本代表MF久保建英(19)について、1997年からビリャレアルを取材する番記者のビクトール・フランチ氏(45)がスポニチに特別寄稿。地元の大きな期待、ウナイ・エメリ新監督(48)の起用構想を明かした。(取材協力/翻訳・江間慎一郎通信員)

 人口5万人ほどのビリャレアルの町は、ウナイ・エメリ新監督が率いるチームに大きな期待を寄せている。クラブが彼を招へいした理由は、欧州チャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得、さらには欧州リーグ優勝を目指すためだった。サポーターはマヌエル・ペレグリニ監督がベンチに座り、フアン・ロマン・リケルメ(アルゼンチン代表MF)とディエゴ・フォルラン(ウルグアイ代表FW)がピッチで躍動した、あの日々を取り戻すことを夢見ている。2005~06年にCL準決勝までたどり着いた、あの黄金期の再来を…。

 選手補強の権限を手にしたエメリは、まず何よりも久保建英を引き入れることを願った。クラブはそのため、久保同様にRマドリードに所属するオスカル・ロドリゲス(U―21スペイン代表MF)の移籍交渉をストップして、日本人MFの獲得へと一気に舵(かじ)を切った。このことからも、久保がエメリに重用されることは間違いない。その一方でレアル・マドリードは、久保のさらなる成長を促す上で、ビリャレアルが理想的なクラブであると考えたようだ。

 ビリャレアルはスペインで、ポゼッション重視の攻撃的なサッカーを実践するチームとして知られている。そのためにジェラール・モレノ(スペイン代表FW)、パコ・アルカセル(スペイン代表FW)、チュクウェゼ(ナイジェリア代表MF)ら攻撃的ポジションに才能豊かな選手たちがそろっており、それは久保にとって大きな恩恵となるはずだ。エメリは入団会見の日、私に使用システムとして2つの構想があると語ってくれた。

 1つ目は4―2―3―1で、この場合に久保は1トップのすぐ後ろか、サイドのどちらかでプレーすることになる。たとえサイドでプレーするとしても、純粋なサイドアタッカーとしての役割を押しつけられるわけではない。バルセロナのメッシのように、自由に動く権利が与えられるはずだ。

 そして2つ目は4―4―2。こちらではサイドに位置する可能性がより高くなり、2トップのジェラールとアルカセルにボールを配る役割となるだろう。

 いずれにしても、久保は厳しい規律に縛られていたマジョルカとは違って、ビリャレアルで自由に羽ばたくことができる。攻撃において、彼が大きな制約なしに、その極限のファンタジーを見せられれば、勝利に直結する…。エメリは、そう信じているのだ。

 ◆ビクトール・フランチ 1975年7月29日生まれ、ビリャレアル出身の45歳。地元を代表するクラブ、ビリャレアルをスポーツ記者として1997年から取材。ラジオ局「オンダ・セロ」でビリャレアルを中心としたカステリョン県のスポーツについて語っており、スポーツ紙「マルカ」の通信員も務めている。

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