ステイホーム

[ 2020年6月1日 08:00 ]

原題は「SCORECASTING」。意訳すれば「得点操作」かな?意味深なタイトルだ
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 【我満晴朗のこう見えても新人類】不要不急のコラム執筆を自粛していた約2カ月間。実情はネタがなくて困っていただけなのだが、気がつけば同業者たちは内容の濃い作品を次々と世に送り出している。ここは重い腰を上げ、遅ればせながら一本仕上げてみたい。

 お題は「無観客試合」だ。5月16日に再開したドイツのブンデスリーガ、6月19日に開幕する日本プロ野球、7月4日に再開するJ1リーグ。いずれも基本的に一般ファンはスタジアム(アリーナ)に入場できない。テレビやオンライン動画を通じて観戦するほかなく、当然ながら歓声はプレーヤーに全く届かない。どんなに熱い戦いを展開し、歴史に残るような勝負を繰り広げようとも、場内は「し――――ん」。3月の大相撲春場所を思い起こすまでもなく、正直言って興ざめだ。

 それとは別に気になるのが、フランチャイズ制を採用する野球、サッカーといったプロスポーツ。「ホームチームはビジターより優位にある」という命題に、どの程度影響を及ぼすのだろうか。

 2012年にダイヤモンド社が発行した「オタクの行動経済学者、スポーツの裏側を読み解く」=写真=という本がある。シカゴ大のトビアス・J・モスコウイッツ教授と、スポーツイラストレイテッド誌のL・ジョン・ワーサイム記者による共著だ。モスコウィッツ教授は金融学が専門だが、プロスポーツ界で常識とされるさまざまな事象について膨大なデータを基に分析。時に証明し、時に反論している。

 驚いたのは、ホームチームが地元試合でなぜ強いかを理路整然と解析したことだ。一般的には(1)観衆の後押し(2)相手が遠征で疲労している(3)本拠地に慣れている…が理由として挙げられるものの、実はこの条件はアウェーチームもほぼ同じなのだとか。では勝負を分ける最大の要因とは何か。実は審判の判定にかかるバイアスだという。

 どんなに熱狂的なファンからの声援を浴びたところで選手のプレーの質は変わらない。しかし審判のコールはホーム寄りとなる傾向が見られるという。対照的に、欧州サッカーでの過去の無観客試合を分析したところ、レフェリーの笛からはその傾向がほぼ消えた!

 そう言われればそうかもしれない。審判だって人の子。スタジアムを埋め尽くした大観衆の反応が全く気にならない、とは言い切れないだろう。判定基準に揺らぎが生じるのは、むしろ自然な現象だ。実際のところ、今回再開したブンデスリーガではホームチームの勝率が大幅に下がったというニュースもあった。
 さて6月19日から始まるプロ野球、そして7月再開のJ1。当面の間は無観客での開催だ。優勝の行方を追う一方で、本拠地チームの勝率にも注目してみたい。

 しっかし、典型的な不要不急のコラムだったなあ…。(専門委員)

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