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ハリル氏怒りの来日、協会にデュエル宣言「私をゴミ箱に捨てた」

[ 2018年4月22日 05:30 ]

厳しい表情で再来日したハリルホジッチ氏(中央)
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 成績不振により日本代表監督を電撃解任されたバヒド・ハリルホジッチ氏(65)が21日、生活拠点を置くフランスから来日した。羽田空港で取材に応じ、目に涙を浮かべながら日本協会と徹底抗戦する方針を強調。6月14日開幕のW杯ロシア大会を前に契約解除に至った真相究明と、自尊心を傷つけられた補償の要求に全力を注ぐ。27日に都内で会見を開く予定だ。

 目に浮かんだ涙を隠すため、ハリルホジッチ氏が一度は外したサングラスをかけ直した。「日本に来る時はいつも喜びを持っているが…」。15年3月の就任から苦楽を共にしてきた樋渡群通訳が第一声を訳す途中でおえつを漏らすと、前監督も感情を抑えられなくなった。顔を上へ向けて必死に涙をこらえ、約10秒沈黙。「今回の状況はちょっと特別。45年フットボールに関わってきた中でも難しいものになっている。真実を探しに来ました」と言葉を絞り出した。

 パリ市内のホテルで日本協会の田嶋会長から解任を告げられたのは今月7日。W杯出場権のないマリに引き分け、ウクライナに敗れた3月下旬のベルギー遠征後に「今後もバックアップする」とのメールを受け取っていただけに、青天のへきれきだった。「私をうんざりするような状況に追いやって、ゴミ箱に捨てたような状況。私の誇りを傷つけることとは戦わないといけない」。日本協会との徹底抗戦を宣言した。

 解任の事実は覆らないだけに、今後は日本協会と契約解除に関する条件面の交渉に入る。当初の契約は8月末までで、年俸は手取り200万ユーロ(約2億6000万円)。違約金の満額となる残り5カ月分の給料80万ユーロ(約1億600万円)は約束されており、不当解雇を理由に追加で求める“慰謝料”が支払われるかが争点だ。サッカー界で成績不振による監督交代は日常茶飯事で、契約にのっとり手続きを進める日本協会に分はある。同協会幹部によると、アギーレ元監督を八百長疑惑で解任した際には設定額を上回る違約金が発生したが、八百長が確定しないグレー段階だったための特殊ケースだった。

 羽田空港に詰めかけた報道陣は約100人。ハリルホジッチ氏は「日本の社会はお互いを尊敬し合ってリスペクトする文化がある。日本という素晴らしい国でこのような対応をされるとは。本当に真実を知りたい。私は終わっていない。メルシー」と締めくくった。緊急会見は約2分40秒。日本サッカー界に“デュエル”(1対1の決闘)の言葉を定着させた功労者は、納得がいくまで戦う。

 【過去の主な代表監督VS協会】

 ▼ネルシーニョ氏→内定白紙 95年11月に加茂日本代表監督の続投問題が噴出すると、加藤強化委員長はV川崎を率いていたネルシーニョ氏に白羽の矢を立てた。契約手続きは順調に進み、後任に内定。しかし、長沼会長の鶴の一声で白紙撤回となった。約束がほごにされた怒りは収まらず、日本協会を「腐ったミカンだ」と痛烈に批判した。

 ▼マラドーナ氏→名誉毀損 10年7月にコーチ陣の処遇を巡り協会と対立。アルゼンチン代表監督を更迭されると、同年12月にアルゼンチン協会のグロンドーナ会長を名誉毀損(きそん)で提訴する意向を示した。テレビ番組で「マラドーナは薬物と飲酒の問題を抱えている」と攻撃されたのが原因。反論するとともに、弁護士と訴訟の準備を進めるなど世間を騒がせた。

 ▼ジーコ氏→給与未払い 日本代表監督を退任後、11年8月、イラク代表監督に就任。しかし、翌年7月には給与未払い問題が表面化。自身の公式サイト上で「ブラジルに戻ってオファーを待つことになる」と明かした。さらに「プロである我々への敬意のなさが問題」とイラクサッカー協会への不満を表明。結局、12年11月に辞任した。

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