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「もうゴールできないかと…」今野54戦目の遅咲き1号

[ 2011年11月12日 06:00 ]

<タジキスタン・日本>前半36分、先制ゴールを決めて喜ぶ今野

W杯アジア3次予選C組 日本4―0タジキスタン

(11月11日 ドゥシャンベ)
 これまでゴールに無縁だった男が均衡を破ってみせた。前半36分、DF今野が自身のパスカットからゴール前に猛進。一気に駆け上がると相手GKがはじいたボール目がけて右足一閃(せん)。待望の先制弾を決め、ガッツポーズを繰り出した。試合後は真顔で「もう代表でゴールはできないかと思ってました」と言い、笑いを誘った。

 何とこれが国際Aマッチ通算54戦目にして初ゴール。駒野(65戦)に次ぐ歴代2位のスロー記録だ。「本気で駒野さんの記録、狙ってたんですけどね」。09年、ボランチとしても国内屈指の実力を持ちながら、当時のFC東京・城福監督からDFにコンバートされ、悔しさから号泣もした。だが今では「得点への欲はなくなった。無失点の方が快感」と言う。“ゼロの快感”に魅せられた男の貴重な得点だった。

 ザックジャパンはこの日で16戦目だったが、皆勤賞は今野だけ。身長1メートル78と高さはないが、ボランチで培ったパス能力、絶妙なカバリング能力で不動の地位を築いた。イタリア人指揮官は「今野への信頼は最大級」と言ってはばからない。今夏には、フランス、イタリアのクラブが獲得に動くなど世界からの評価も高い。

 無名だった東北高時代、一般入試だった今野は入学当初、エリートの推薦入学組と一緒に練習できず、荒れたピッチを使わされていた。何事にも負けない“東北人魂”の原点がそこにある。ドゥシャンベの凸凹ピッチは、初得点に最もふさわしい場所だったのかもしれない。今野にとって一生、忘れられない1日となった。

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