【フェブラリーS】Dr.コパ氏 菜七子に期待「年間50勝はできる」

[ 2019年2月8日 05:30 ]

インタビューで藤田菜七子騎手について語る小林祥晃氏
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「フェブラリーS」(17日、東京)で藤田菜七子(21)の歴史的参戦を実現させた?コパこと小林祥晃氏(71)のスポニチ本紙単独インタビュー第2弾。菜七子が8日に栗東で初騎乗する自身の所有馬コパノキッキング(セン4=村山)との出合いに始まり、3月から導入される女性騎手の新減量制度を受けて菜七子の年間50勝の可能性にも言及した。また、JRA史上最多記録となるG1・75勝を誇り、6連勝中のインティ(牡5=野中)でフェブラリーSに臨む武豊(49)が“ライバル”菜七子に温かいエールを送った。 フェブラリーS

 ――キッキングは米国産馬。自身の所有馬で(外)は珍しい。

 「アメリカは方位が良かったんだよ。“アメリカで買うと当たるかもしれないな”って、(調教師の)村山明君に言って。トレーニングセール(17年ファシグティプトン社フロリダセール)だから、タイムが出ない馬を買っても仕方ない。明君から“選んだ中に一番時計がいます。でも、社台も来ているし、買えないと思いますよ”って言われて。それで“10万ドル(約1100万円)以上は出さないよ”って返答したら、ぴったり10万ドルで買えた。あとから明君が“よく見たら、脚が曲がってます”と…。まあ、そのおかげで誰も競りにこなくて安く買えた。安い馬で勝つのは風水の極意。俺の馬の平均購入価格は400万円だから、俺にしちゃ高額馬だけどね」

 ――馬名の由来は。

 「彼を競り落としてすぐ、映画を見ていた。上映が始まる前に座席の前を蹴飛ばすなとか、(館内での)禁止事項が表示されるじゃない?その時に、目にしたのが“NO KICKING”の文字。キッキングという響きが威勢良くて、“おっ、いいじゃん”って」

 ――第一印象は。

 「初めて合った時は、“こりゃ、相当に脚が曲がってるな”、“気性が荒くて言うこと聞かなそうだな”と(笑い)。でも、顔が良かったね。まなざしが良かった」

 ――デビューは3歳の2月と遅れた。

 「(17年)6月に育成牧場に入ったが、その時点で調教ができないくらい気性が荒かった。それで7月に(去勢手術で)セン馬にした。それでも跳んだりはねたりして目をケガして。なかなかうまくいかなかった。こうなったらデビューの日を風水的に決めちゃおうと考えた。それで18年2月4日の立春の日にデビューが決まった」

 ――その後の出走ローテーションは。

 「出るレースは全て俺が風水で選んだんだ。ここに出して、ここを勝って、そしてフェブラリーSも勝っちゃうとあれこれ考え、風水的なタイムスケジュールを作った。本当は一つも負けずにG1を獲るはずだったんだけど、2つ負けたからね(苦笑)」

 ――いよいよ、そのフェブラリーS。14、15年にコパノリッキーで連覇を達成しているが、このG1を制するには。

 「速いこととスタミナがあること。他の競馬場の1800メートル戦を勝つためのパワーが必要。両方を持っていないと勝つことはできない。(コース的には)芝スタートと直線の長さがポイント」

 ――今年のフェブラリーS。他馬をどう見る。

 「(武)豊さんのインティはスピードがあって、逃げる姿がコパノリッキーそっくり。インティの特長は速いペースで逃げて、後ろの馬の脚をなし崩しになくしていく。ため逃げしない。ルメールが乗るゴールドドリームは自在にどこからでも競馬ができる。本当に強いダート馬。M・デムーロが乗るオメガパフュームは切れるよね。最後方ではなく中団くらいから差してくる。競馬が上手。ノヴァとソアのサンライズ軍団は堅実に走って強い」

 ――キッキングも脚質は幅広い。

 「逃げも、追い込みも、どっちもできるところが面白いでしょ?藤森SとカペラSは後方から一気に来た。ダートであの上がりの脚はなかなかない」

 ――改めて1600メートルについては。

 「ファンの間でも距離が持つのかどうか、論争になるだろうね。ただ、枠順次第なんだけど、悪いイメージは湧かないんだよ。根岸Sまでは1400メートルで勝ったことがなくて、2敗がどちらも1400メートル。その意味で、(1400メートルが)この前のテーマで試金石だったがクリアした」

 ――さて、菜七子騎手の話に戻るが、印象的なエピソードは。

 「一昨年の5月6日の新潟8R。彼女がコパノアラジンに乗ってあっさり勝った。検量室前に彼女が戻ってきて、“うまくなったね〜”と言ったら、ニコッと笑ったの。その顔が可愛かった。本当に素直にうれしそうに笑った。それがオーナーとジョッキーのつながりだよね」

 ――減量恩恵が☆(負担重量の1キロ減)になってから勝てない時期が続いたが、1月27日(中京8R)にコパノピエールで19年JRA初勝利。

 「コパノピエールはリチャードの弟。こんなところで低迷している馬じゃない。良かったよ、勝ってくれて。菜七子とは相性がいいよね。それまで勝てなかったのは単純にいい馬に乗っていないからだと見ていた」

 ――オーナーもホッとしたのでは。

 「今年未勝利のままG1に乗るのは大変。それが今年2つ勝った。まして(3場開催となって)小倉で乗るわけだし、さらに勝つチャンスがある。フェブラリーSまでにもう1つ、2つ勝たせてあげて、勢いをつけたいね。俺も馬を用意している」

 ――キッキングで米国G1「ブリーダーズCスプリント」(11月2日)など海外参戦も視野にあるとのことだったが、菜七子騎乗で考えているのか。

 「フェブラリーSの結果次第だよね。ここから先はキッキングと菜七子騎手の相性も含めてね」

 ――8日に菜七子がキッキングに初騎乗。

 「角馬場を乗ったり、コミュニケーションを取ったりすると思うけど、乗った姿で似合う、似合わないが分かるんだよね。座りがいいという言葉があるように、パッと乗った瞬間や騎乗フォームに合う合わないがある。それは見てみないと。キッキングだって、(乗っているのが)女の子って思うかもしれないしね」

 ――3月から女性騎手の新減量制度が導入される。競馬界にどんな影響を及ぼすか。

 「デビュー4年目の経験ある騎手が3キロ減で騎乗できるのはオーナーにとってはとても魅力。ナナちゃん(菜七子)は年間50勝に手が届く可能性も十分あるよ。その間に勢いがついて、重賞をいくつか獲るかも。そして、2年後には後輩の女性騎手もデビューしてくる。お姉ちゃん(菜七子)と徒党を組んだら男性騎手は怖いと思うよ」

 ◆Dr.コパ(どくたー・こぱ、本名小林祥晃=こばやし・さちあき)1947年(昭22)5月5日生まれ、東京都世田谷区出身の71歳。日本大学理工学部建築学科卒。一級建築士、神職、愛知工業大学客員教授。Dr.コパとして風水・家相を用いた開運術の第一人者。01年に馬主資格を取得。本名の小林祥晃名義で「コパノ」「ラブミー」などの冠名の競走馬を所有。史上最多となるJRA&地方交流G1・11勝を挙げたコパノリッキーなどG1ホースのオーナーで、同馬で14、15年のフェブラリーSを連覇。

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