【天皇賞・春】芳醇シャケトラ“3強の香り”切れ味極上11秒4

[ 2017年4月27日 05:30 ]

<天皇賞・春>エルビッシュ(右)とハッピーモーメント(左)と併せて追い切るシャケトラ
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 2強対決に待った!!春の最強古馬決定戦「第155回天皇賞・春」(30日、京都)の最終追いが26日、栗東、美浦両トレセンで行われた。栗東では6戦4勝のシャケトラが、圧巻の動きを披露。デビュー1年未満でG2日経賞を制した新星が、初対戦となるキタサンブラック、サトノダイヤモンドの両巨頭に真っ向勝負を挑む。同レースは27日に枠順が確定する。

 実は3強対決?シャケトラの最終追いは、そう思わせるに十分な気迫に満ちあふれていた。栗東CWコースでの3頭併せ。エルビッシュ(4歳1000万)、ハッピーモーメント(7歳オープン)を先行させ、3〜4角で一気に差を詰めて最内に進路を取る。うなる手応えで並ぶ間もなく前に出ると、ラスト1Fも11秒4の切れ味。早々に脱落した中のハッピーを尻目に、外から必死に食い下がるエルビッシュも寄せ付けない。手応えに余裕を残して楽々と1馬身先着した。「最後は反応を確かめる程度。前走の疲れも見せないし、痛いところもない。何も不安なく調整できているのが一番です」。文句なしの動きに、辻野助手の表情が緩んだ。

 骨折や体質の弱さもあり、初陣はダービーが終わった後の昨年6月。その後もソエ(若駒特有の管骨の痛み)に悩まされたが、昨秋に500万を勝ち上がって以降、徐々に体質が強化。つれて成績も安定し、デビュー6戦目だった前走・日経賞で重賞初制覇を成し遂げた。担当の上村助手は「以前は(レースを)使うたびにソエを痛がっていたが、脚元がしっかりした今は続けて使っても大丈夫。デビュー以来、一番と言える出来。相手はさらに強くなるが、力を出し切れば楽しみ」と意気込む。

 500キロを超える雄大な馬体は、2強と比べても遜色なし。初めて背負う58キロも、上村助手は「馬格があるので心配していない。前走も53→55キロに増えたが、強い内容だったから」と意に介さない。重賞初挑戦だった2走前の日経新春杯は、道中で鞍がズレるハプニングがありながら鼻差2着。日経賞の勝ちタイムも昨年の有馬記念に0秒2差。2強に肉薄できるポテンシャルは戦歴が証明している。

 キャリア6戦での天皇賞・春制覇となれば、47年オーライト(8戦)を上回る史上最少キャリアでのV。牝馬ウオッカによるダービーV、ヴィクトワールピサでの日本馬初のドバイワールドC制覇。競馬史に残る数々の快挙を達成してきた角居厩舎なら、70年前の“歴史上”の出来事を、あっさり塗り替えても驚かない。 

 ◇シャケトラ馬名 イタリアの高級デザートワインの名前が由来。白ブドウをじっくりと乾燥させ、押しつぶす工程を経た甘い芳香と美しい色合いの、チンクエテッレ(イタリア北西部のリグーリア海岸にある5つの村)の名産。ちなみにイタリア語では「Sciacchetra」と言い、リグーリア方言で「押しつぶして作った」という意味がある。

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2017年4月27日のニュース