365日 あの頃ヒット曲ランキング 10月

【1983年10月】CAT’S EYE/ほんの寄り道のつもりが…杏里 世界が変わった

[ 2011年10月17日 06:00 ]

コンサートで歌う杏里
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 ★83年10月ランキング★
1 CAT’S EYE/杏里
2 SWEET MEMORIES/松田聖子
3 禁区/中森明菜
4 挑発∞/シブがき隊
5 そんなヒロシな騙されて/高田みずえ
6 メリーアン/アルフィー
7 UNバランス/河合奈保子
8 恋は、ご多忙申し上げます/原由子
9 家路/岩崎宏美
10 タイニー・メモリー/柏原芳恵
注目GOOD―BYE青春/長渕剛
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【CAT’S EYE/杏里】
 テレビアニメの主題歌は、そのジャンルを専門的に歌っている人が歌うもの、という常識を覆し、以後新しい流れを作ったのがこの曲だった。

 日本テレビ系のアニメ「キャッツ・アイ」の主題歌を歌ったのは、デビュー5年目の杏里。ヒットランキングに名を連ねるような代表曲はなく、マイペースで自分の世界を追及する音楽活動をしていた女性シンガーは、一躍人気アーティストになった。

 8月5日の発売からかつてないほどのレコード売り上げをみせ、9月に各種ベストテンでランクインすると、9月26日付のオリコンでは1位に。以後5週連続トップを守り、82万枚のセールスを記録。テレビでもTBS「ザ・ベストテン」でも11月10日の番組300回記念でトップに立った。

 小麦色の肌に、長い髪をなびかせ、ダンサンブルな曲調に合わせて踊る22歳に影響を受けた女性は、ディスコで同じステップを踏み、アニメ好きの内向的な男性も彼女に注目。ヒットする前から予定されていた22の学園祭は、どこもパニックになるほどの盛況ぶり。アニメの視聴率もスタート時、9%程度だったのが、秋になると15%前後を記録。大ヒット曲の影響は多岐にわたった。

 尾崎亜美が手掛けた「オリビアを聴きながら」でデビューした時は17歳。「杏里、キミにふれたい」のキャッチフレーズで分かるようにアイドル歌手的な扱いだった。その路線に疑問を感じ、以後は売れ筋には背を向けるように、独自のスタンスでやってきた。

 そんな時に舞い込んできたのが「キャッツ・アイ」の話だった。所属レコード会社の社員の弟がアニメのプロデューサという関係で歌うことになったが、アニメのテーマ曲というのがひっかかり、歌うことに抵抗があった。なんとか説得され、ちょっとした“寄り道”程度の気持ちで歌ったところ、思わぬヒットに。方向性が違い、目指してもいなかったが、NHK「紅白歌合戦」への出場も決定。「たまには大みそかに仕事をするのもいいかな」という独特の感想を述べた。

 1曲のヒットで環境はガラリと変わり、次の作品の「悲しみがとまらない」も43万枚のヒットとなり、アルバムも飛ぶように売れ、人気歌手として世間には認知されるようになった。

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