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【1984年10月】恋、はじめまして/岡田有希子 初期の恋の3部作ついにベストテン入り

[ 2011年10月7日 06:00 ]

84年10月11日、第17回新宿音楽祭で金賞を受賞した岡田有希子。トロフィー抱き「恋、はじめまして」を歌った
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 ★84年10月ランキング★
1 ヤマトナデシコ七変化/小泉今日子
2 天国にいちばん近い島/原田知世
3 星屑のステージ/チェッカーズ
4 永遠に秘密さ/近藤真彦
5 べらんめぇ!伊達男/シブがき隊
6 浪花節だよ人生は/木村友衛
7 恋、はじめまして/岡田有希子
8 泣かないで/舘ひろし
9 最愛/柏原芳恵
10 バージンブルー/SALLY
注目もしかして PART2/小林幸子・美樹克彦
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【恋、はじめまして/岡田有希子】

 レコード売り上げの業界紙を熟読するのが趣味、という変わったアイドルが、発表の1日前に事務所に届けられたランキング表を見て、思わず飛び上がるほど大喜びした。

 デビュー時からシングル盤の作詞、作曲を手掛けてきた竹内まりやと二人三脚で歩んできた岡田有希子の初期の作品の集大成のサードシングル「恋、はじめまして」が10月8日のオリコンチャートで7位に入った。トップ10に入るのはこれが初めて。その後、TBS「ザ・ベストテン」でも初のランクイン。「大人へのステップを歩き始めている」と歌詞の中にあるが、彼女自身も超が付く売れっ子アイドルへのステップをこの1曲で歩み始めた。

 デビュー曲「ファースト・デイト」で「クラスで一番目立たない私」が優しい男の子にデートに誘われて映画へ。男の子の気まぐれだと思いつつ、期待に胸が膨らんだ。そんな少女がセカンドシングル「リトルプリンセス」では、ついに遊園地でデート。本当は怖いはずのジェットコースターも、彼となら怖くなかった。

 そして9月。ロケットには彼の写真…「恋したら誰だってキレイになりたい」と、ママの選ぶドレスを敬遠し、少女から「素敵なレディー」に変わろうとおしゃれに目覚める。半年に渡って岡田有希子の成長を恋に見立てて描写した竹内の3部作は秀逸。ファンの男の子があたかも歌詞の中の彼氏のような気持ちにさせてくれるのは、レコードセールスに好影響を与えたことは想像に難くない。

 この年の新人賞争いは、「モニカ」「サヨナラは八月のララバイ」がヒットした吉川晃司との一騎打ちとなった。レコード売り上げでは吉川がかなり有利だったが、日本歌謡大賞もレコード大賞も岡田が大賞に選ばれた。少し鼻にかかった声が甘えているようにも聞こえながらも、新人の割に歌唱力が評価されてのものだった。

 ただ、岡田はこの受賞を心から喜んでいなかったという後日談もある。人気があったのは吉川の方というのが彼女の見方だった。「私の実力ではない。周りのスタッフが頑張ったから」という思いが強かったという。感受性が強く、並みのただ可愛いだけのアイドルではなかった。

 岡田有希子の信じられない、哀しい話が世の中に衝撃を与えたのは、「恋はじめまして」のヒットから1年半後のことだった。

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