365日 あの頃ヒット曲ランキング 10月

【1985年10月】恋におちて/「金妻」ブームに乗った小林明子 足かけ2年でミリオン

[ 2011年10月21日 06:00 ]

 ★85年10月ランキング★
1 恋におちて/小林明子
2 SOLITUDE/中森明菜
3 碧い瞳のエリス/安全地帯
4 もう逢えないかもしれない/菊池桃子
5 Love Fair/岡田有希子
6 うしろゆびさされ組/うしろゆびさされ組
7 ハート・オブ・レインボー/チェッカーズ
8 RAIN―DANCEがきこえる/吉川晃司
9 ラヴェンダー・リップス/河合奈保子
10 生意気/中山美穂
注目Temptation/本田美奈子
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【恋におちて/小林明子】

 2度のデビューのチャンスを自ら降りてしまい、3度目の正直ではないが、26歳で書いた曲がデビュー曲となり、これが大当たりした。社会現象にもなったドラマの主題歌だったことも幸いし、足かけ2年にわたり計100万枚を突破するミリオンセラーになるとは、歌っている小林明子本人も、スタッフも誰も思っていなかったに違いない。

 TBS系ドラマ「金曜日の妻たちへ3」の冒頭で流れる「恋におちて」は、小林本人が作曲。作詞は湯川れい子だが、もともと最初は小林が全編英語の歌詞を付けていた。その出来も決して悪くはなかったが、ドラマの雰囲気に合わせて湯川が詞を書き直した。「金妻」の前2作の主題歌が外国の曲だったこともあり、3枚目は是非日本語で、という思いがドラマの制作サイドにあったためだった。

 が、それが幸いしたのかもしれない。歌詞の大部分が日本語で、盛り上がるサビの部分が英語と日本語のミックス。覚えやすく、インパクトがあり、誰もが口ずさめるのはヒットの大前提。加えてドラマが「金妻」ブームと呼ばれるほどの話題となり、あれよあれよという間にレコードが飛ぶように売れた。

 学習院大在学中にロックバンドのボーカルを務め、プロダクションから声がかかり、デビュー寸前までいったこともあった。しかし、自分の声が、ロック向きでないことを感じていた小林はデビューの話を受けなかった。

 ロックの次はジャズボーカルを勉強。アルバイトを続けながら、レッスンに通い、同時に作曲も定期的にした。曲が100曲くらいたまった時に、初めてデモテープを送ると、レコード会社が反応。小林の湿り気を帯びた、やや甘えるような声質と曲調に興味を持ち、まず作曲を依頼。ブレッド&バターらに提供した。そして舞い込んだ発注が「大人の女の歌。30歳台のさまざまな経験をしてきた女が罪悪感を感じながらも、恋におちていく雰囲気」の歌だった。

 ドラマのオープニングとエンディングで流れるこの曲に、多くの女性の胸がなぜか熱くなった。恋の願望という炎の勢いは、レコード売り上げに確実に波及した。

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