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【1977年10月】人間の証明のテーマ/レコード発売日に…ジョー山中 波乱万丈のヒット曲

[ 2011年10月8日 06:00 ]

78年5月30日、復帰コンサートで熱唱するジョー山中
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 ★77年10月ランキング★
1 ウォンテッド/ピンク・レディー
2 人間の証明のテーマ/ジョー山中
3 秋桜/山口百恵
4 愛のメモリー/松崎しげる
5 コスモス街道/狩人
6 憎みきれないろくでなし/沢田研二
7 思秋期/岩崎宏美
8 九月の雨/太田裕美
9 アン・ドゥ・トロワ/キャンディーズ
10 帰郷、お化けのロック/郷ひろみ
注目ワインカラーのときめき/新井満
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【人間の証明のテーマ/ジョー山中】

 森村誠一のベストセラー小説「人間の証明」が映画化され、10月8日に全国一斉に封切られた。詩人西條八十の「僕の帽子」の中の「母さん、僕のあの帽子どうしたでせうね」という、映画の中でカギとなるセリフが映画宣伝のキャッチフレーズにも使われ、流行語にもなった。

 その詩を英訳し「Mama Do you remember…」と歌ったのが、米国人の父と日本人の母の間に生まれた。ジョー山中。ロックミュージシャンの内田裕也の呼びかけで生まれた「フラワー・トラベリング・バンド」のボーカリストとして、カナダなどで人気を博したジョーだったが、日本では音楽関係者のみに知られる存在で、世間的には無名だった。

 それが大ヒット間違いなし、といわれる映画の主題歌に抜てきされたのは、知人の勧めでオーディションを受けたのがきっかけ。製作者の角川春樹氏の前でギター1本で弾き語りをした。角川氏はすぐに合格を決定。映画のストーリーに欠かせない、黒人青年役も芝居は経験のないジョーに決めた。

 ここまでは順風満帆だったが、試練がジョーを襲った。8月10日、映画に先がけてテーマ曲のレコードが発売された日に、大麻取締法違反の疑いで逮捕された。2カ月半拘留され、釈放された時には、歌も映画も大ヒット。釈放された足で映画館へ行くと、風貌からバレてしまいサイン攻めにあった。

 半年の謹慎後、いよいよコンサートツアーという矢先に、公演を予定していた多くのホールから断りが相次いだ。「逮捕歴がある人間には貸せない」というものだった。

全国20カ所の公演が5カ所になったが、78年5月31日に東京・日本武道館のステージに立った。「人間の証明のテーマ」発売から9カ月以上。ジョーは初めて生で、52万枚のレコードが売れたヒット曲を歌った。それまで涙を見せなかったジョーが歌いながら人前はばからず泣いたのは、自身の生い立ちにも通じるところがある「人間の証明のテーマ」を打った手いる最中だった。
 

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