365日 あの頃ヒット曲ランキング 10月

【1992年10月】You’re the Only…/4オクターブの小野正利 月9で爆発

[ 2011年10月19日 06:00 ]

 ★92年10月ランキング★
1 決戦は金曜日/ドリームズ・カム・トゥルー
2 ZERO/B’z
3 DA・KA・RA/大黒摩季
4 no no darlin’/CHAGE&ASKA
5 じれったい愛/T―BOLAN
6 You’re the Only…/小野正利
7 一番偉い人へ/TUNNELS
8 サヨナラ/GAO
9 浅い眠り/中島みゆき
10 涙のキッス/サザンオールスターズ
注目こころ酒/藤あや子
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【You’re the Only…/小野正利】

 90年代を通してヒット曲はある種のパターンがあった。ドラマ主題歌なり、CMソングなりのタイアップをつかみ、それがカラオケで広く素人に歌われる。これが“ヒットの方程式”だった。

 デビューから3カ月足らずでもう3枚目のシングルをリリースした小野正利もまさにそのパターンだった。このアーティストで売り出したいと事務所やレコード会社が思い立ったら、まずタイアップ先を見つけることが大切だった。

 1年前までカラオケスナックなどで皿洗いのバイトをしながら、音楽をやめるかどうか迷っていたハードロッカーは、92年夏にフジテレビの“月9”ドラマ「きみのためにできること」の主題歌を歌い、それがカラオケのメロディーに乗ってちまたで歌われるようになると、CDは面白いように売れまくった。

 吉田栄作主演のドラマもまずまず好評をえたことで、計95万枚をセールス。「普通に街を歩きたい。顔が知られるようになって、それができなくなってきた」というのが、売れっ子になったか、カーリーヘアの小野の悩みだった。

 中学でフォークソング、高校でロックバンドをやっていた青年は将来社会科の教諭を目指して大学に進学。趣味で音楽サークルに入ったが、先輩に半ば無理やり聴かされた、ハードロックバンドの曲で気持ちが180度大きく変わってしまった。バンドの名前はレッド・ツエッペリン。以来、ハードロック一筋。いつのまにか大学も中退し、バンドに専念。プロを目指していた。

 そんな小野に再度転機が来たのは91年。バンドがうまくいかなかった頃に、音楽事務所の社長に声をかけられた。4オクターブは出るという澄み切った声と音域の広さはハードロック以上にポップスで生かされるのではないかということになり、ジャパニーズポップスを披露。これがうまくいった。日本レコード大賞の最優秀新人賞に紅白歌合戦初出場…考えても見なかったことが1曲のヒットで次々に起こった。

 このヒット曲。実は小野が大学1年生の時に好きな女性と海へ行ったときの想い出を歌詞にしたものだった。「これをデビュー曲に」と小野は考えていたが、プロデューサーは「何かの時の勝負曲にしたい」と温存。フジテレビの看板番組“月9”用に満を持して投入された。

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