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【1988年3月】愛は心の仕事です/ラ・ムー 菊池桃子 突然のロックバンド転身

[ 2012年3月11日 06:00 ]

 ★88年3月ランキング★
1 パラダイス銀河/光GENJI
2 吐息でネット/南野陽子
3 抱いてくれたらいいのに/工藤静香
4 乾杯/長渕剛
5 GOOD MORNING―CALL/小泉今日子
6 You Were Mine/久保田利伸
7 風のエオリア/徳永英明
8 BEYOND THE TIME/TM NETWORK
9 愛は心の仕事です/ラ・ムー
10 悲しいね/渡辺美里
注目いつか何処かで/桑田佳祐
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【愛は心の仕事です/ラ・ムー】

 88年2月17日、突然の発表にファンも関係者も驚きと戸惑いを感じた。

 アイドル歌手の菊池桃子がロックバンドのボーカリストとして音楽活動をすることを発表。男女7人、黒人のコーラスも入れたバンド名は「ラ・ムー」で、24日に“デビュー曲”「愛は心の仕事です」をリリースすると報告した。

 15歳で芸能界デビューしてから4年。二十歳を前に女優としても活動の領域が広がり、大人っぽさも見え始めた菊池だが、思わぬ方向転換。そのきっかけは短大進学にあったと説明した。

 「高校と違って大学では何もかも自分で選択しなければならない。自分の意思で決めるることが、すごく楽しいことだと気が付いた。そこで自分が何をやりたいかと考えたら、歌を歌うにしても、制作の段階からいろいろと関わりたいと思った」。その時に偶然舞い込んだのが、バンドの話。ヒュージョングループのサポートメンバーだったキーボードの松浦義和らと組んで、R&B色の強いサウンドのボーカルとして声がかかった。

 思い切った挑戦と物珍しさも手伝って「愛は…」オリコンチャートでもトップテン入り、TBS「ザ・ベストテン」では3月10日に9位でランクイン。ちょっと不思議な振り付けとともに話題となった。

 まずまずのスタートを切ったように見えたラ・ムーだが、2曲目のシングル「少年は天使を殺す」がオリコンで4位になったのが最後に目立ったくらいで、その後名前が聞かれなくなった。秋に計画されていたコンサートツアーは結局企画段階でストップ。年明けの89年には解散危機がささやかれ、コーラス担当の黒人女性は米国に帰国したことも発覚した。

 菊池は「ロックと言ってもハードロックではなく、メロディーラインを重視して、リズムはタイトに決めて、その上にふわっとしたボーカルをかぶせる」とバンドの方向性を口にしていた。しかし、アイドルの時と変わらない“やさしい”歌い方とリズム感が良かったわけではなかったことが、メンバーに戸惑いを生じさせた。

 89年10月、菊池は個人事務所を設立。女優として芸能活動を続けることになった。これを機に「ラ・ムー」はシングル4枚、アルバム1枚を残し事実上解散した。

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