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【1978年3月】演歌チャンチャカチャン/平野雅昭 店を立て直すためにレコード発売

[ 2012年3月1日 06:00 ]

★78年3月ランキング★
1 微笑がえし/キャンディーズ
2 カナダからの手紙/平尾昌晃、畑中葉子
3 サムライ/沢田研二
4 UFO/ピンク・レディー
5 迷い道/渡辺真知子
6 乙女座宮/山口百恵
7 演歌チャンチャカチャン/平野雅昭
8 冬が来る前に/紙ふうせん
9 追いかけてヨコハマ/桜田淳子
10 冬の稲妻/アリス
注目花しぐれ/高田みづえ
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【演歌チャンチャカチャン/平野雅昭】

 開業しているスナックの苦境を脱するために、一発逆転を狙ってのレコード発売だった。

 自称“真夜中のドサ周りエンターティナー”平野雅昭が77年11月にリリースした「演歌チャンチャカチャン」は、忘年会、新年会シーズンから徐々に火がつき、2、3月には有線にリクエストが殺到。子どもたちまで、決めのフレーズ「チャーンカチャンチャンチャンチャン」と歌いながら、右腕を斜めに上げる仕草が流行りだし、42万枚の大ヒット。閑古鳥が鳴いていた、店の客足はざっと5倍に膨れ上がったという。

 レコードはスタジオで収録したものではなく、ライブ音源。臨場感たっぷりにまずは上原敏・結城道子の「裏町人生」を「チャーンカチャンチャンチャンチャン」を時折はさみながら歌うと、次は有名な演歌を中心とした、ちょっぴり替え歌をしながらのメドレーが続く。

 往年の名歌手、東海林太郎の名曲「名月赤城山」から渡哲也の「くちなしの花」、果ては「わたしの城下町」(小柳ルミ子)、「せんせい」(森昌子)まで、男女も新旧もグループも問わず、ものまねを交えながら、「演歌チャンチャカチャン」は大盛り上がり。平野の店では、これを聞かないと客が納得して帰らないため、客の回転率を早くするため、毎晩に何度となくこの曲を歌いまくった。

 店は一時期人気の的になったが、顔が売れた平野にはテレビだけでなく、地方の歓楽街の店から次々お呼びがかかった。ギャラの良さに“営業”活動には積極的だったが、肝心の自分の店は「なんだ、きょうもマスターは出稼ぎかい?」とガックリする客が続出。マスターのアレが聞きたくて店に来てくれたはずなのに、看板商品がなければ衰退するのは必至。皮肉なことにヒットから間もない時期に閉店に追い込まれた。

 日大芸術学部演劇科出身で、一時コメディアンの南利明のところに弟子入り。かばん持ちをしていたが、交際していた女性に子どもができたため、金が必要になり、本人は全くその気がないのに、新宿のゲイバーで働いていたこともあった。

 「演歌…」の次も2匹目のどじょうを狙って「寿司ネタチャンチャカチャン」などをリリース。しかし、あの爆発的にヒットは2度となく、その後もまたパブを開店させては閉じの繰り返し、一時ラーメンチェーン店の営業部長をしていたこともあるなど、波乱万丈な人生を送っている。

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