【1999年３月】だんご３兄弟／速水けんたろう、茂森あゆみ他　品切れ続出　１週間で…

　★99年３月ランキング★
１　だんご３兄弟／速水けんたろう、茂森あゆみ他
２　Ｍｏｖｉｎ’ｏｎ　ｗｉｔｈｏｕｔ　ｙｏｕ／宇多田ヒカル
３　Ｗｉｎｔｅｒ，ａｇａｉｎ／ＧＬＡＹ
４　春～ｓｐｒｉｎｇ～／Ｈｙｓｔｅｒｉｃ　Ｂｌｕｅ
５　やめないで，ＰＵＲＥ／ＫｉｎＫｉ　Ｋｉｄｓ
６　Ｐｒｅｃｉｏｕｓ　Ｔｉｍｅ／ＳＰＥＥＤ
７　Ｎｏｔｈｉｎｇ　Ｗｉｔｈｏｕｔ　Ｙｏｕ／鈴木あみ
８　長いため息のように／ｔｈｅ　ｂｒｉｌｌｉａｎｔ　ｇｒｅｅｎ
９　この愛のために／ＣＨＡＧＥ＆ＡＳＫＡ
10　サヨナラバス／ゆず
注目Ｍｏｔｔｏ／タンポポ
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【だんご３兄弟／速水けんたろう、茂森あゆみ他】

　どこへ行っても売っていなかった。レンタル店に行っても貸し出し中、フルコーラスを聴くためには、テレビで放映されるのを待ち構えるか、ラジオから偶然流れてくるのを耳にするしかなかった。

　聴くためにこんなに苦労しなければならない曲のタイトルは「だんご３兄弟」。タンゴ調のメロディーに乗ったこの曲は、ＮＨＫ教育テレビが「おかあさんといっしょ」で“１月のうた”にしたところ、直後から大きな反響を呼んだ。問い合わせがピーク時１日６０件平均という驚異的数字になり、「ＣＤの発売予定は？」「歌っているうたのおにいさんとおねえさんは、ほかの番組に出ないのか」など、さまざまな質問にＮＨＫは対応に追われた。

　年１回「おかあさんと…」の曲を集めてアルバムをリリースしているポニーキャニオンもこの状況に、急きょシングルでの発売を決定。「これぐらい出せば間に合うだろう」と見積もり、３月３日の発売日に合わせて８０万枚を出荷した。が、これが甘かった。８０万枚は即日ほぼ完売。各地のミュージックショップからは矢のような催促が届き、なんとか２０万枚強を緊急出荷した。

　３月１５日付のオリコンチャートで初登場１位はもちろん、売り上げ枚数は約１０２万６０００枚といきなりミリオンセラーを達成。歴代売り上げ枚数トップの「およげ！たいやきくん」の４５４万枚を２２年ぶりに抜き去るのではないかとまで言われたが、最終的には９９年の１年で２９２万枚をセールスした。

　ＣＤだけでなく、ちまたではだんごが異常なほど売れまくった。歌の設定と同じ３個の串刺しのものが品切れ状態に。子どもたちはそれまで見向きもしなかっただんごをおやつにねだるようになるなど、たいやきくんの時と同じように、いわゆる社会現象となった。

　歌っている速水けんたろう、茂森あゆみのうたのおにいさん、おねえさは、この年の３月で交代することになっていたが、「たいやきくん」の子門真人と違い、印税契約を結んでいたいたため、売り上げに応じて懐に報酬が入った。これがいくらになるのか？などの記事が週刊誌に出たり、２人のこれまでの経歴が書かれたりと、思わぬことで“時の人”となった。

　この歌を作詞したのはＣＭディレクターの佐藤雅彦氏。「ポリンキー」「ドンタコス」「バザールでござーる」などのＣＭを手掛けた東大卒の売れっ子だった。

　ＮＨＫから依頼があった際に佐藤氏にはすでにプランがあった。氏の著書「クリック」には「団子レポート」と題した、超短編小説があり、そこで３兄弟のことが綴られていた。何が大ヒットのタネになるか分からないものである。