阪神日本一で思い出す1985年の世相

[ 2023年11月9日 18:05 ]

38年ぶり日本一を達成して胴上げされる阪神・岡田監督(撮影・島崎忠彦)
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 【佐藤雅昭の芸能楽書き帳】阪神タイガースがオリックス・バファローズとの関西対決を制して日本一に輝いた。1985年以来、38年ぶり2度目の栄冠。岡田彰布監督(65)は選手として、そして監督として「アレ」を成し遂げた。持っている人だ。

 タイガースが初の日本一に輝いた85年。綾瀬はるか(3月24日)、蒼井優(8月17日)、上戸彩(9月14日)、宮崎あおい&満島ひかり(11月30日)、貫地谷しほり(12月12日)ら今の芸能界で主軸を任される実力派女優が多く産声をあげているが、振り返れば85年は大変な1年だった。

 悪徳商法で批判を浴びていた豊田商事会長が刺殺される事件が6月18日に大阪市北区で発生。8月12日には日航ジャンボ機墜落事故が起こっている。乗員乗客520人の命が奪われた大惨事。歌手の坂本九さんや宝塚歌劇団出身の女優・北原遥子さん、そして阪神の中埜肇球団社長も犠牲になった。

 「刑事コロンボ」でピーター・フォークの声を当てた俳優の小池朝雄さんが3月23日に肝不全のため54歳の若さで亡くなったのも、この年。放送中のNHK朝のテレビ小説「ブキウギ」で趣里(33)が演じるヒロインのモデルとなった笠置シヅ子さんも3月30日に70歳で永眠している。

 さらに「七人の侍」「張込み」など名脇役として活躍した宮口精二さんも4月12日に71歳で彼岸に渡り、9月11日には「鬼龍院花子の生涯」「時代屋の女房」「魚影の群れ」「瀬戸内少年野球団」などで銀幕に咲いた女優の夏目雅子さんが急性骨髄性白血病のため27年という短い生涯を閉じている。同じ日、ロス疑惑で渦中にあった三浦和義氏が妻に対する殺人未遂事件で逮捕され、スポニチ編集局も大忙しの1日だった。

 オグリキャップが誕生したのもこの年3月27日だったが、競馬ファンを沸かせたのはシンボリルドルフ。4月29日に京都競馬場で行われた天皇賞(春)に勝ち、シンザン以来2頭目となる5冠を達成。ちなみにシンザンがクラシック3冠を制したのは、関西チーム同士の南海と阪神が日本シリーズを戦った1964年のことだった。

 映画界では黒澤明監督の「乱」が毎日映画コンクール日本映画大賞とブルーリボン賞作品賞、森田芳光監督の「それから」がキネマ旬報ベストテン1位に輝いている。第1回東京国際映画祭が開催された年でもあり、オープニングを「乱」が飾り、市川崑監督の「ビルマの竪琴」がクロージング上映された。グランプリは相米慎二監督の「台風クラブ」が射止めた。この年、洋画では「アマデウス」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」などが日本に上陸している。

 日本レコード大賞には中森明菜の「ミ・アモーレ」が選ばれ、大みそかの第36回NHK紅白歌合戦は紅組が森昌子、白組が鈴木健二アナウンサーが司会を務めた。

 阪神の日本一が2度目というのはちょっと意外だったが、待ち続けたファンの喜びはその分、格別なものだったに違いない。38年前を思い起こすと感慨深いものがある。

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