“地球代表”深浦九段 渡辺王将の勝利への鍵は「やりたいこと表現できるか」

[ 2022年1月30日 05:30 ]

第71期ALSOK杯王将戦第3局第1日 ( 2022年1月29日    栃木県大田原市「ホテル花月」 )

“地球代表”と称される深浦九段
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 第1局と同じ出だしで相掛かりとなった大田原対局。立会人の深浦康市九段(49)は第3局に臨む渡辺を思いやった。

 「藤井さんは指し手を間違える気配が一切ない精密機器みたいな人。渡辺さんはそこも踏まえて研究していると思いますが、さらに自分に精度が求められる状態。精神的に結構つらいと思います」

 異次元の強さゆえに“将棋星人”とも呼ばれる藤井に3勝1敗の対戦成績を誇る深浦。昨年10月のNHK杯では、95手で藤井に快勝した。2つ勝ち越しは全棋士の中で唯一で、ファンからは「星人から地球を守る“地球代表”」と称されている。勝因の1つとして挙げたのは「自分のやりたいことを表現できた」ことだ。第2局の渡辺の完敗を「気負いすぎて、読みのバランスが保てなかったのではないか」とみている。

 「僕の場合は自分の研究した戦い方をぶつけて勝つことができた。今局で渡辺さんが自分のやりたいことを盤上で表現できるかどうかが鍵になると思う」

 渡辺にとって負けられない戦いである一方、藤井は変わらずマイペースだ。対局前日の歓迎セレモニーでは当地出身の平安武将で、弓の名手だった那須与一を引き合いに出したあいさつに感心。その姿が、合計獲得タイトル99期のトップ棋士・羽生善治九段(51)に重なるという。

 「今まで前夜祭のあいさつでも、羽生さんはうまいこと言うなと思っていた。タイトル戦にも慣れてきて、藤井さん羽生さんは同じ空気感を感じますね」

 藤井にとって、勝てば3連勝で5冠目奪取に王手が掛かる対局。それでも「普段通りの落ち着いた様子でした」と話した。

 防衛に闘志を燃やす渡辺と不動心の藤井。勝負の行方を、深浦は静かに見守っていた。

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2022年1月30日のニュース