「鎌倉殿の13人」180キロ巨漢&ハリウッド→逆輸入 米本学仁が初大河「感慨深い」太りすぎ工藤茂光役

[ 2022年1月30日 20:45 ]

「鎌倉殿の13人」で恰幅のいい武士・工藤茂光役を演じる米本学仁(C)NHK
Photo By 提供写真

 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は30日、第4話が放送され、源頼朝(大泉洋)の挙兵に坂東武者が集結したが、頼朝も思わず「太りすぎ」とツッコミを入れる武士がいた。恰幅の良い武士・工藤茂光(もちみつ)役を演じるのは、身長1メートル80&体重180キロの体躯を誇る俳優・米本学仁(たかと=42)。米ハリウッドで活躍し、今回が大河ドラマ初出演となった“逆輸入俳優”。米本に撮影の舞台裏を聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 ヒットメーカーの三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 第4話は「矢のゆくえ」。治承4年(1180年)8月、ついに挙兵を決断した源頼朝(大泉)の一党は、伊豆国の目代・山木兼隆を討って初戦を飾るべく戦支度を始める。しかし、頼朝の乳母子である山内首藤経俊(山口馬木也)に助力を断られるなど、強大な平家の威光の前に思うように兵が集まらない。強気な兄・宗時(片岡愛之助)とは対照的に、自身の浅慮を後悔する北条義時(小栗)。そんな中、対岸の江間館で暮らす八重(新垣結衣)が義時に声を掛け…という展開。

 岡崎義実(たかお鷹)佐々木秀義(康すおん)ら老兵が挙兵に加わる中、北条館に入ってきた工藤茂光を目にした頼朝は「あの男は太りすぎではないのか」と半ば呆れ顔。義時も「いささか」と応じ、頼朝は「小四郎(義時)、これは負けるぞ」と覚悟した。

 制作統括の清水拓哉チーフ・プロデューサーによると、鎌倉時代成立の軍記物語「源平盛衰記」にも「工藤茂光は太っていて、戦で難儀した」という記述があり「とことん大柄な人にお願いしたいと考えていたところ、プロデューサーチームの中から米本さんを推す声が上がりました。実際にお会いしてみると、圧倒されるぐらい本当に大きい方。これは、相当なインパクトになると直感しました。お芝居も表現力豊かで素晴らしいので、実にいい方に巡り会えたと思います」と起用理由を説明した。

 米本は2007年、映画プロデューサーを目指して渡米。ある日、突然スカウトされ、演技経験もないまま、忠臣蔵をモチーフとした13年公開の米映画「47RONIN」に出演。いきなりハリウッドデビュー、主演のキアヌ・リーブスらとの共演を果たした。

 その後、米国を拠点に、数多くの映画・ドラマ・CMなどで活躍。20年夏、日本に拠点を移し、今回、大河デビューが舞い込んだ。

 ユニバーサルなど米大手スタジオ制作のドラマにも出演したが「なかなか日本に伝わらないこともありました。全国津々浦々、老若男女に届く大河ドラマは、その対極。是非チャンスがあればと思っていたので、本当にうれしかったです」と率直な心境。今回演じる工藤茂光は、恰幅のいい伊豆在郷武士。北条家とは本拠が近く、仲が良い。「大河ドラマからのオファーからにビックリもしましたが、役柄をうかがって、これは僕の役だと思いました。今までも『あなたのふくよかで、ハッピーな感じがいいよね』と役を頂けたり。自分のコンプレックスだった部分に、そういう『I love you』を頂いて、自分でも少しずつ愛せるようになってきて、それでお仕事も頂けて、本当にありがたいと思います」と感謝した。

 米作品出演時より周囲の反響も大きく「これほどのリアクションはなかったので、ようやく役者としての自分が日本の視聴者の皆さんや仲間に届けられる作品に巡り会えたと感慨深いものがありました」と伝統枠の重みを実感した。

 初登場は第3話(1月23日)、北条宗時(片岡愛之助)三浦義村(山本耕史)らが馬に乗って狩りから北条館に戻るシーン。米本の乗れる馬がなく、先に到着して馬から下りている演技になった。「僕も馬に乗れるので、皆さんと乗りたかったんですが。『ばんえい競馬の馬なら…。牛かな…』というスタッフさんの声が離れたところから聞こえてきて(笑)。それが工藤茂光を演じる僕なのかなと感じながら、色々とご苦労はお掛けしたと今も思います」と振り返った。

 米本がデビュー作「47RONIN」で乗った馬は、スティーヴン・スピルバーグ監督の映画「戦火の馬」(12年公開)の“主人公”の馬。「かなり大きなスペインの馬でしたが、それでも僕が乗ると、馬のおなかがポヨンと少し下にたゆんでしまったので(笑)。普通の馬に僕が乗るのは、かわいそうですよね」

 室町時代から明治に至る日本絵画史上最大の画派「狩野派」は工藤茂光の子孫。クランクイン前には、狩野城跡(伊豆市)に足を運んだ。

 「本丸があった山頂(標高189メートル)にたどり着くまで汗だくになるわ、足はつりそうになるわで、これは茂光さんも苦労されたんじゃないかなと思ったり。自分なりに『今回、演じさせていただきます』と報告してきました。緑に囲まれて座っていると、一陣の優しい風が吹いて。もちろん声は聞こえませんが、自分としては茂光さんと対話できたんじゃないかなと。お墓なども足跡をたどっていくことで、彼の人生を追体験するといいますか、茂光さんを親しく感じるプロセスを経て、現場に入りました。なので、何か特別な役作りをするというよりは、工藤茂光として、その瞬間を一生懸命生きることを心掛けました」

 次回第5話「兄との約束」(2月6日)のキーパーソンの1人。米本の演技、工藤茂光の動向に目を凝らしたい。

続きを表示

2022年1月30日のニュース