「カムカムエヴリバディ」深津絵里 「サッチモちゃん」のはまり具合

[ 2022年1月4日 08:15 ]

4日放送の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で、ジョー(オダギリジョー)に洗濯物を届けるるい(深津絵里)(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】4日放送のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で、俳優のオダギリジョー(45)が演じるトランペッターのジョーが、女優の深津絵里(48)が演じるヒロインのるいを「サッチモちゃん」と呼ぶ場面があった。

 演出した松岡一史氏は「オダギリさんが愛らしく呼んでくれるのを、自分も、るいの気持ちで聞いた」と話す。

 クリーニング店で働くるいが洗濯物を届けにジョーが暮らす部屋を訪れる場面。ジャズ喫茶の階上にあるその部屋には、「サッチモ」を愛称とするジャズミュージシャンのルイ・アームストロングのレコードやポスターが並んでいる。ジョーはるいがいれたコーヒーを口にすると「サッチモちゃん、コーヒーいれるの上手やな」と感嘆。るいは最初、その呼称に無反応だったが、話している途中で「あの…サッチモちゃんて?」といぶかしげにジョーに尋ねる。

 「サッチモちゃん」という愛称には、どこか明るい響きがある。子供の時に母親に対して「アイ・ヘイト・ユー(大嫌い)」と激しい言葉を吐き、母親と決別した女性のイメージからは遠い。本来ならばミスマッチのはずだ。ところが、あの場面を見た視聴者の1人として感じたのは、実はその呼称こそがるいの本来の性格、演じている深津の個性に合っているのではないかということだ。

 松岡氏は「るいは岡山で母親と別れ、衝動的に大阪に来たが、ずっと暗いイメージで生きて来たわけではないだろう。深津さんとも、るいは暗い子ではないという話をした。オダギリさんには、良いバランス感覚で演じていただいたと思う」と語る。

 現在放送中の大阪編は、ある種の青春ドラマの味わいがある。主な登場人物は、るいとジョーのほか、ジャズ喫茶に通う女子大生・ベリー(市川実日子)、ミュージシャン・トミー(早乙女太一)、クリーニング店の店主・平助役(村田雄浩)、平助の妻・和子(濱田マリ)ら。彼ら彼女らがかもし出す、伸びやかな雰囲気の中で、「サッチモちゃん」という明るい呼称は耳になじみやすい。

 ルイ・アームストロングがなぜ「サッチモ」と呼ばれたのかということに関しては、確実な情報がない。彼の口の特徴から「Satchel mouth(がま口)」「Such a mouth(なんて大きな口だ)」と言われていたことに由来するという説がある。

 るいは、その愛称の力を借りつつ、生来の個性を発揮していくことになるだろう。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。

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2022年1月4日のニュース