「味平」ビッグ錠さんが特別講座 今も続く“食漫画”の追求

[ 2021年10月22日 08:45 ]

森下文化センターで特別講座「『食マンガ』談義」を行ったビッグ錠さん
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 「のらくろ」記念館として知られる森下文化センター(東京都江東区)で、「食」をテーマに描く漫画家たちによるシリーズ講座「『マンガめし』談義」が行われている。今月10日には「元祖料理漫画」とされる「包丁人味平」のビッグ錠さんが、「食と漫画」について熱弁を振るった。聞き手も料理漫画「味いちもんめ」の倉田よしみさんが務めた。

 「味平」は1973~77年に週刊少年ジャンプ(集英社)で連載。ビッグさんが、大好きな西部劇から持ち込んだ「一騎打ち」の構図がヒットの要因とされる。「対決は何にでもある。恋愛もそう。対戦相手をどう魅力的に見せるか考えるのは楽しかった」という。料理人同士の対決は、今も続く食漫画のひな形の1つとなった。

 今も語り継がれる「麻薬入りのブラックカレー」など「僕の漫画は突っ込みどころが多い」と苦笑いだったが、漫画だからこその自由な発想が面白い。読者が今ほど現実との乖離(かいり)や展開の矛盾を突かない時代でもあった。面白い漫画は、多少の矛盾は無視したくなるものだ。

 戦後から現在に至る「食」について「胃袋から舌、舌から頭で味わうように変わってきた」との見解も面白かった。

 終戦直後は「腹が減るからウマい…という、胃袋で食べていた感覚が強かった」という。それが高度成長期を経て「美味しいものを求める気持ちが、より強くなった」とし、さらに「イタリアンやフレンチなど、食べ物がファッション化し、うんちくを語る人が増えた」と指摘した。

 「“今の人は頭で食べている”という人がいたが、当たっていると思う。次は何で食べる時代になるのかな」と楽しそうに話した。

 82歳になった今も漫画誌「俺流!絶品めし」(ぶんか社)で「怪盗くいしん坊」を連載中。モチーフは、大正から昭和の日本を騒がせた「説教強盗」。現代社会を「マンションの隣の部屋で人が死んでいても気づかない」と表現。人のつながりが希薄になる中で「強盗に入ったはずが、住人に料理を作ってしまう主人公」を描く。

 「食」が呼び起こす記憶や、人生の機微を描きたい思いもあるのだろうか。聞き手の倉田さんが「食べものから、食べた場所や一緒に食べた相手、気持ちなど、いろんな事と思い出すこともありますね」と語ると、深くうなずく場面もあった。

 「味は絵で表現できない。いい技がないか、今も頭を悩ませている」とビッグさん。今もなお食漫画の可能性を模索し続けている。

 講座は全4回。31日の第2回は、倉田さんが講師で、ビッグさんが聞き手を務める。同センターでは、漫画に描かれた「食」の世界や歴史を原画や単行本でたどる「料理&グルメ『食マンガ』展」が24日まで行われている。(記者コラム)

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