名人戦 1勝1敗で迎えた第3局は相矢倉 2枚銀の斎藤に渡辺は角で対抗 天王山を巡り、早くも攻防

[ 2021年5月4日 18:56 ]

名人戦第3局に臨んだ渡辺明名人(提供・日本将棋連盟) 
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 渡辺明名人(37)=王将、棋王の3冠=に斎藤慎太郎八段(28)が挑む第79期名人戦7番勝負第3局は4日、名古屋市の万松寺で開幕し、戦型は相矢倉になった。昼食休憩前から天王山を巡る押し引きが展開され、54手目を渡辺が封じて1日目が終了した。

 お互いが先手番をキープし合って、対戦成績1勝1敗。相矢倉は、先手斎藤が過去28勝15敗の勝率・651。名人戦初勝利を挙げた第1局に続く採用で、シリーズの主導権を再び奪いに行った。一方、渡辺も矢倉は得意戦法。後手番でも77勝40敗とこちらも・658の高率を誇る。

 初手から快調に指し手を重ねた両者。31手目、斎藤が銀を4段目へ進出させ、急戦矢倉を志向する。さらに天王山へ歩を突き出し、開戦を告げると、さらに銀を進出させて挑戦者らしい積極性を指し手に示した。

 午後はさらに角道を通して2枚銀による中央制圧を目指す斎藤に対し、渡辺も角を4段目まで進出させ、斎藤の飛車をにらむ迎撃態勢を敷いた。午後3時ごろに渡辺が1時間4分、すると斎藤も1時間12分と長考を重ね合い、持ち時間9時間の名人戦らしい濃密な時間が経過した。

 前日3日、現地での開幕式。「3局目4局目と進むと1局の重みが増してくる。精一杯頑張りたい」と渡辺が意気込みを語った。現地には今回も体重計を持ち込み、食事前後にこまめにチェック。「ビール1杯飲むかどうかを決める。それが分からないと物が食べられない」と厳しい自己管理術を披露した。

 斎藤は「第3局は大きな一番。自分としてもより一層準備して臨みたい」と抱負を語り、料理を趣味とするグルメだけに「名古屋は大好きな街。(食事の)選択肢も多く、それを考えられるくらいリラックスしている」と笑顔で語った。

 昼食には「浅ひろ」の味噌煮込みうどんとライスを注文した渡辺に対し、斎藤は「大須万松寺 五代目橋本」の最高級黒毛和牛ロースビフテキとヒレカツをチョイスした。

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