仲邑菫 12歳0カ月で最年少二段、趙治勲名誉名人の記録52年ぶり更新

[ 2021年3月16日 05:30 ]

二段昇段を決め笑顔の仲邑菫初段(撮影・岸 良祐)
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 囲碁の最年少棋士・仲邑菫初段(12)が15日、日本棋院(東京都千代田区)で打たれた第28期阿含・桐山杯予選Bで松原大成六段(48)を破り、史上最年少の12歳0カ月で二段昇段を決めた。1968年、趙治勲名誉名人(64)が作った12歳3カ月の記録を52年4カ月ぶりに更新し「尊敬していた先生なのでうれしいです」と笑みがこぼれた。昇段は16日付。

 終局後、会見した仲邑は、プロ入りから昇段までを振り返り「早かったです。小学生のうちに二段になれて良かったです」とホッとした表情。この日の対局について「全体的にうまく打てたかなと思う」と話した。

 19年1月にプロ入りが発表されてから2年余り。初対局後の会見では逃げるように立ち去ったあどけない少女はこの春、中学校に進学する。

 顔つきも少し大人びた印象だが、昇段を記念して色紙に「二段」としたためることを求められ、ペンを手に取ったものの「段」の字が出てこず、苦笑いする子供らしい姿に会見場が和む一幕もあった。

 プロ棋士の父の下、3歳で囲碁を覚え、小学2年で少年少女の全国大会に出場。7歳から両親と3人で、日本より囲碁が盛んな韓国に渡って修業。今年1月には、より対局が充実した環境を求めて日本棋院関西総本部から東京本院に移籍した。

 プロ入り時には「中学生のうちにタイトルを獲りたい」と意気込んでいた仲邑。着実に勝利を積み上げたこの日、今後の目標を問われ「強くなれるように頑張る」とキッパリ。「小学生プロ」の次なる目標「中学生タイトル」に向けて前を見据えていた。

 《女性同期8人で最初の昇段者》二段に昇段するには、プロ入り後、7大タイトル戦や阿含・桐山杯などの特定の棋戦で30勝を挙げる必要があり、女性棋戦は対象外となっている。他に初段から六段までは、7大棋戦における賞金ランキングの上位者になると昇段できる場合もある。二段には現在、男女合わせて27人いる。仲邑は19年度にプロ入りした日本棋院所属棋士13人の中で4番目の昇段で、女性8人の中では最初の昇段者となる。

 【最年少アラカルト】
 ☆将棋 藤井聡太(18) 2016年10月、14歳2カ月でプロ棋士に。加藤一二三・九段の記録を62年ぶりに更新。その後、50勝(15歳4カ月)、100勝(16歳4カ月)と記録を次々更新。昨年7月に棋聖を獲得し、17歳11カ月で初タイトル

 ☆囲碁 芝野虎丸(21) 19年10月、囲碁の7大タイトルの一つである名人を19歳11カ月で獲得。同11月には王座との2冠を最年少で獲得

 ☆サッカー 久保建英(19) 19年9月、サッカーW杯予選の最年少出場記録を更新。18歳4カ月。1980年の風間八宏の19歳3カ月を39年ぶりに更新

 ☆プロ野球 村上宗隆(21) 19年、プロ野球・ヤクルトで高卒2年目以内の最多本塁打タイ36本、最多打点96を更新。前記録はともに1953年の中西太(西鉄)。8月にはプロ野球史上最年少サヨナラ本塁打を記録

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