【日本映画大賞】「MOTHER マザー」大森立嗣監督 役者を信じ引き出した“自然体”演技

[ 2021年1月22日 05:30 ]

2020年(第75回)毎日映画コンクール各賞決定 ( 2021年1月21日 )

「MOTHER マザー」で日本映画大賞に輝いた大森立嗣監督
Photo By スポニチ

 コロナ禍で人と会うのにも気を使うご時世。「分かち合うこともなく、1人で“良かったな!”みたいな感じです」と大森立嗣監督は喜びをかみしめた。

 2014年に埼玉県で起こった少年による祖父母殺しに着想を得た衝撃作。母親がそそのかしたのかどうかが争点になった事件だ。大森監督は「港岳彦さんの脚本にもありましたが、“なめるように育ててきた”という母親のセリフと、その一方にある息子への物凄い暴言。2人の間に奇妙な何かがあるんじゃないか…その“何か”を探求しながらの取り組みは面白かった」と撮影を振り返った。

 シングルマザーを演じた長澤まさみ(33)には「覚悟が凄かった」と、その女優魂を称え、息子役の新人・奥平大兼(17)についても「過剰に見せようとか、余計なことは一切やらなかった。センスがいい。そのうちまた一緒にできたら」と期待を寄せる。

 段取りを済ませば、本番は役者を信じて細かい指示は出さない。「こう見てほしい」という観客への押しつけがましさもない。「セリフとセリフの間の行間が好きなんです」の言葉に大森イズムがのぞく。「焦ったり、気持ちが昂(たか)ぶり過ぎずに作品に向き合えている」と充実の毎日だ。「自分の企画をそろそろやりたいな」のつぶやきが耳に残った。

続きを表示

この記事のフォト

2021年1月22日のニュース