日野日出志さん短編集「予言書のようだ」と話題 20年前に“2020年に新種ウイルス流行”描く

[ 2020年11月12日 05:39 ]

「予言書のようだ」と話題の日野日出志さんの短編集

 ホラー漫画の巨匠、日野日出志さんの短編集「日野日出志 トラウマ!怪奇漫画集」(税別1600円)が16日、イカロス出版から発売される。収録作の1つで2000年に発表した「あしたの地獄―地球発2020―」は2020年の日本で新種のウイルスが流行するという設定で、関係者から「予言書のようだ」と驚きの声が上がっている。

 同作は執筆当時、近未来だった2020年の日本が舞台。突然発生した謎のウイルスに怯える人々が描かれる。ウイルスは高熱や、全身が溶ける症状がある。

 同作は、掲載のホラー誌「スーパーホラー」がわずか4号で廃刊となりファンの間でも“幻の作品”となっていた。

 日野さんは1970年に、核戦争後の荒廃した世界を描いた「あしたの地獄」を発表したが、残酷な描写が批判を浴びるなどして執筆の継続を断念した。いつか続編を描きたいと思い続けていたそうで、「あしたの地獄―地球発2020―」はそんな30年越しの思いを込めた作品だった。

 “予言”となったことについて、日野さんは「ウイルスによって地球が滅びるというのは漫画によくある設定」と述懐。年代を2020年にしたのは「実は“20”は不吉な数字。それを二つ重ねた2020年は『あしたの地獄』の続編にぴったりだと思った」と説明した。

 短編集は、400以上ある日野作品から、トラウマ必至の6作を収録。読者に「これを読んだ君は死ぬ」と宣告して物議をかもした「地獄の子守唄」も含まれている。

 掲載時の描写が残酷だとしてカットされた「水の中」や、隠れた名作と名高い「二階屋の出来事」も収録。全話に怪談蒐集家の寺井広樹氏の解説と、寺井氏による日野氏のインタビューが掲載されている。

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2020年11月12日のニュース