愛之助「半沢直樹」&黒崎役に感謝「人生の分岐点」8・1歌舞伎再開の拍手に涙「こんなにも待っていて」

[ 2020年9月13日 08:00 ]

日曜劇場「半沢直樹」で検査官・黒崎が“当たり役”となった片岡愛之助(C)TBS
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 TBS日曜劇場「半沢直樹」(日曜後9・00)の検査官・黒崎が“当たり役”となった歌舞伎俳優の片岡愛之助(48)。役者としてはもちろん「人生の1つのターニングポイント(分岐点、転機)も、やはり『半沢直樹』になりますかね」と作品と役との出会いに感謝している。今作の撮影は、東京・歌舞伎座「八月花形歌舞伎」(8月1~26日)と掛け持ち。コロナ禍にあって「半沢直樹」続編と約5カ月ぶりの歌舞伎公演再開には実は不安もあったが、“半分の客席”からの拍手に「涙が出そうになりました」。コロナ禍でエンターテイメントの意義が問われる中、「半沢直樹」続編と歌舞伎再開に共通して実感した愛之助の思いとは――。

 愛之助演じる黒崎は旧大蔵省銀行局出身の切れ者エリート。前作は前半に大阪国税局統括官として、舞台が東京に移った後半は金融庁検査局主任検査官として半沢(堺雅人)の前に立ちはだかったが、2度も苦杯。プライドが高く神経質、何故かオネエ口調。激高した時に部下の急所をつかむという個性的なキャラクターは大きなインパクトを残し、愛之助も「片岡愛之助という存在を世に知らしめてくれたドラマ」と“転機”の1つと位置付ける“当たり役”となった。

 続編となった今作の撮影は、約5カ月ぶりの歌舞伎公演再開となった東京・歌舞伎座「八月花形歌舞伎」(8月1~26日)と掛け持ち。愛之助は河竹黙阿弥作の第1部「連獅子」(午前11時開演)に出演した。

 前作も、13年2月に新装工事が完了し、4月から1年間にわたった歌舞伎座のこけら落とし興行と重なり「その日の『半沢』の撮影が終わって高速に乗った途端、大渋滞に巻き込まれて。『これは歌舞伎に間に合わない』と本当に泣きそうになったことが1回ありました」と思い返した。

 そして、今回の再開初日は一際、感慨深いものに。新型コロナウイルスの新規感染者が増えていた時期(8月1日の東京都は過去最多472人)で「まず、この時期に舞台を開けることが本当に大変でした。ひょっとしたら中止になるかもしれない状況で、どうなるのか分からない船出。無事に初日が開けば、と思っていました」。他の劇場舞台クラスターなども発生し「今、本当に公演をしていいのか。開催しない方がいいんじゃないのか。どんどん不安になる部分もありました」と率直に明かした。

 歌舞伎座は徹底した感染防止対策が採られ、観客は体温チェックの上、チケットの半券は自分がもぎって入場。換気のため、公演中は全扉を開け、幕間はなく、4部制各部ごとに観客を入れ替え、全席を消毒した。密を避けるため、劇場内の飲食物販売は水、お茶、のど飴のみに限定。イヤホンガイドやパンフレットの販売などは取りやめた。演者側も楽屋は原則1人1部屋。使用ごとに各部屋を消毒し、通常行われる役者同士のあいさつも禁止した。

 客席は通常1808席のうち、823席のみ開放。「松嶋屋!」などの大向こうも禁止だったため「お客さまからのパワーは、拍手で頂くしかありません。僕は第1部だったので、まさに再開して一番最初に舞台に出ていく人間でしたが、幕が上がった時、お客さまはいつもの半分なのに、今までに聞いたことがないような“ウワーッ”という物凄い拍手で。僕が舞台の上に座っても鳴り止まず、演奏がかき消されるぐらい。舞台を開けて正解だった、こんなにも待っていてくださったんだと涙が出そうになりました。『半沢直樹』をはじめ中断になったドラマも多かったですが、皆さんがエンターテインメントというものを待ち望んでくださっていたんだということを改めて実感して、歌舞伎にも『半沢直樹』にも出させていただいて、本当に良かったと思いました」

 3月24、31日に放送されたTBSラジオオリジナルドラマ「半沢直樹 敗れし者の物語 by AudioMovie」出演時にもインタビューし、前作については「僕は舞台の人間ですから、歌舞伎のお客さまは知ってくださっていますが、当時、世間的には片岡愛之助という人間を知らない人の方が圧倒的に多かったと思います。それが、この『半沢直樹』というドラマで、多くの皆さんに僕の存在を知っていただけたんじゃないですかね。あくまでお芝居なんですが、最初は会う方会う方、『愛之助さんは普段もオネエ口調なんですか?』が第一声で(笑)。いやもう、本当に凄い影響力なんだと思いました。今も街行く人に声を掛けていただくことがあります」と感謝した。

 続編も大反響。「半沢直樹」という作品の存在について再度、尋ねると「歌舞伎役者としてのターニングポイントはいくつもありましたが、歌舞伎以外の役者としての1つのターニングポイントは『半沢直樹』ですね。そして、人生の1つのターニングポイントも、やはり『半沢直樹』になりますかね。これも1つのご縁。皆さまに感謝しております。歌舞伎もそうですが、作品というものは脚本が凄く大事なんです。『半沢直樹』は池井戸潤先生の素晴らしい原作に、ドラマとしての命が吹き込まれ、堺さんをはじめ素晴らしい役者陣、素晴らしいスタッフに囲まれて、本当に素晴らしいことずくめ。本当に勉強になります。日曜日になれば、いち視聴者となってリアルタイムで妻と一緒に見ています。妻も喜んで黒崎のマネをしていますけど(笑)」

 ただ、続編のクランクイン、放送スタート前は「だいぶ時間が空いたので、どういうテンションで演じていけばいいのか。果たして、皆さんに見ていただけるのか。もちろん期待の方が大きかったですが、役者としても、いち個人としても、期待と不安が入り混じった複雑な思いがありました。まさに歌舞伎再開の時と同じで、『半沢直樹』の初回(7月19日)が近づくにつれ不安も高まりました」。制作発表(7月12日)前の初回試写で「大丈夫」と手応えはあったが、フタを開けてみれば、前作初回を上回る平均世帯視聴率22・0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。お客さまがエンターテイメントを待ち望んでいる――。歌舞伎再開時の拍手と同じく、自身の仕事の意義を再認識した。

 9月は大阪文化芸術フェス2020「歌舞伎特別公演」(9月11~13日、大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール)や別ドラマや映画の撮影も並行。「うまくスケジュールを調整していただいているので、大丈夫です。ただ、もう1つのドラマはいいお父さん役で、全然オネエ口調じゃないんですが、思わず黒崎になってしまいそうになることもありますね(笑)」

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