日航機墜落で犠牲の坂本九さん妻・柏木由紀子が感謝「歌い継いでくださり本当にありがたい」

[ 2020年8月13日 05:30 ]

日航機墜落から35年

歌手の坂本九さん
Photo By 共同

 乗客乗員520人が犠牲となった日航ジャンボ機墜落事故から35年となった12日、遺族らが墜落現場の群馬県上野村「御巣鷹の尾根」に慰霊登山した。今年は台風被害と新型コロナウイルスの影響を考慮し登山者は遺族と関係者に限られた。犠牲になった昭和のスター歌手坂本九さん(享年43)の妻で女優の柏木由紀子(72)は都内の墓前に手を合わせた。

 柏木はこの日午前、坂本さんが眠る東京・西麻布の長谷寺を訪れ、長女で歌手の大島花子(46)、次女で女優の舞坂ゆき子(43)らとマスク姿で墓前に手を合わせた。「事故当時小学3年生だった次女が43歳になりました。主人と同じ年齢になる日が来るとは思っていなかった」と35年という時の流れをかみしめるように語った。

 坂本さんの歌声は新型コロナウイルスが猛威を振るう今もなお聴く人を勇気づけている。日本政府が緊急事態宣言を発令した4月、演出家の宮本亜門氏(62)の呼び掛けで著名人ら600人超が坂本さんの代表曲「上を向いて歩こう」で医療従事者にエール。YouTubeには世界各地で同曲を歌う人々の映像も投稿された。「明日があるさ」「見上げてごらん夜の星を」などをリモート合唱する輪も広がり、柏木は「主人のことを忘れずに皆さまが歌い継いでくださり本当にありがたい」と感謝した。

 35年前の8月12日、坂本さんは知人の選挙活動を応援するため東京から大阪へ向かって事故に巻き込まれた。柏木は「出発前夜、自宅で次女を抱っこしていた時にじっと目をつぶっていた。いつもと違う様子だったので凄く印象的だった」と振り返る。事故当日には「今日は雲が速いから飛行機に乗りたくないんだよね」とつぶやいていたことを舞坂から聞いたという。

 事故から35年がたち、遺族の高齢化が進む。事故の記憶や教訓をどう語り継ぐかが課題。柏木は「このような悲しい出来事が二度と起こってはいけないし、忘れてはいけないのでこれからも伝えていきたい」と空を見上げた。 (安田 健二)

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