広瀬すず NHKリモートドラマで際立った温かい芝居

[ 2020年6月4日 12:00 ]

NHKリモートドラマ「Living」で共演した広瀬すず(左)と広瀬アリス(右)(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】広瀬すずは、温かい気持ちにさせてくれる女優だ。NHKリモートドラマ「Living」(再放送は5日深夜1・00)で、その思いを強くした。

 姉の広瀬アリスとのドラマ初共演作。物語の最後に2人が鼻でハーモニカを吹きながら交互に踊る場面があるが、その時のすずの懸命すぎる鼻ハーモニカとあまりにぎこちないダンスに心が和む。アリスが自身のツイッターで明かしたところによると、このシーンの7割がアドリブだったという。

 制作統括の訓覇圭チーフ・プロデューサーはリモートドラマについて「通常のドラマより出演者自身が演出を考える比重が大きい。基本は2人が相談して作り上げた芝居をこちらがカメラに収めるというやり方だった」と説明。広瀬姉妹の演技に関しては「2人の仲の良さが一瞬にして分かる空気感だった」と振り返った。つまり、あの鼻ハーモニカの場面の親密感は、ほぼ広瀬姉妹の実像ということだ。

 思い出したのは、昨年のNHK連続テレビ小説「なつぞら」に、すずが主演した時の話だ。制作スタッフの1人が「広瀬さんはどんなに疲れていても、いつもニコニコしている」と明かした。

 当時、広瀬は月曜から金曜まで朝ドラの撮影で、土、日は別の仕事をしつつ朝ドラのセリフを覚える日々だった。事実上無休の状態なので、普通の人ならば機嫌が悪くなりそうなところだが、広瀬は制作スタッフに不機嫌な一面を見せたことがなかったという。

 本人にインタビューした際に、この件を聞いてみたが、その答えが良かった。「ふだんは感情を出さないようにはしてますね。家族といる時でも、あまり出したくないタイプなんです。ただ、お母さんと1対1になると、お母さんに対してストレス発散しちゃうことはあります」。感情をあらわにしても平気な家族の信頼関係、仕事の疲れを癒してくれる環境がそこにあるのだろうと思えた。

 広瀬すずという女優は、家族に深く愛されて、ここまで育って来たのだろう。その受けた愛情の豊かさが演技に表れ、こちらを温かい気持ちにさせてくれるのではないか。このまま変わらずにいてほしい女優である。

 ◆牧 元一(まき・もとかず)1963年、東京生まれ。編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在は主にテレビやラジオを担当。

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