寺島進、初の自伝発売 “育ての親”北野武監督への思いなど赤裸々に

[ 2020年1月11日 05:30 ]

自伝を手に笑顔の寺島
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 テレビ東京のドラマ「駐在刑事 Season2」(24日スタート、金曜後8・00)に主演する俳優の寺島進(56)が初の自伝「てっぺんとるまで!」(ポプラ社)をきょう11日に発売する。「人生の後半戦に向けて自分の歴史を活字で残しておきたい」との思いでつづった。

 東京の下町・深川生まれで、映画好きの不良少年は俳優の専門学校に進み、殺陣集団「剣友会」入り。下積みを経験しながら本格的に役者を目指したきっかけは故松田優作さんとの出会いだった。優作さんが初めて監督した映画「ア・ホーマンス」(86年)にチンピラ役で出演したことで、芝居の面白さにはまり込んだ。

 多大な影響を受けた存在は“育ての親”でもある北野武監督(72)だ。89年の初監督作「その男、凶暴につき」から10作品に出演。北野監督から「あの夏、いちばん静かな海。」の撮影で告げられた「役者ってのは死ぬまで現役。20年、30年後に売れて死ぬ間際に天下取ったら、あんちゃんの人生、勝ちだからよ」という言葉が心に刻まれているという。

 「北野監督に出会わなければ今の自分はない。大部屋時代の名もない存在でも分け隔てなく接してくれた。あったかくて痛みが分かる人。男が男にほれたんですよ」。92年に寺島は北野監督が米国入りするという情報を耳にして現地で会うために無鉄砲に渡米。熱量のまま、ひたむきな思いで突き進んだ。97年に「HANA―BI」がベネチア国際映画祭のコンペ部門に出品された際も自費で押しかけ、一緒に青じゅうたんを歩いた。金獅子賞を受賞し、北野監督からは「寺島は粘り勝ちだな」と声を掛けられたという。

 同書では「ソナチネ」(93年)で共演して以降、北野組の常連で、18年に急逝した“戦友”大杉漣さんのことも初めて明かしている。本紙の取材には「気さくに場を和ます素敵な先輩だった。いまだに一緒に現場でやりたいという思いがあって喪失感が…。寂しいです」と語った。映画やドラマから家族のことまで“役者・寺島”の思いが詰まった一冊。自分にウソをつかず、愚直に一歩一歩進んできた姿が描かれている。


 《故渡瀬恒彦さんからがん告げられていた》 寺島にとっては17年に胆のうがんによる多臓器不全で他界した俳優・渡瀬恒彦さんもかけがえのない存在だ。TBSドラマ「十津川警部」シリーズで出会い家族ぐるみの付き合い。台本を入念にチェックする座長としての立ち居振る舞いも学んだという。同書では京都でのドラマ撮影で一緒になった時に、渡瀬さんから「がん」であることを告げられたエピソードも明かしている。

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