田辺聖子さんお別れの会 “夫役”國村隼が悼む「カモカのおっちゃんはいつもの仕事では収まらなかった」

[ 2019年8月3日 15:51 ]

田辺聖子さんのお別れの会で、お別れの言葉を述べた國村隼
Photo By 共同

 6月6日に91歳で亡くなった芥川賞作家・田辺聖子さんのお別れ会「ありがとう おせいさん!田辺聖子さんお別れ会」が3日、兵庫県伊丹市のホテルで開かれ、150人が参列。午後からの一般献花には330人が訪れて故人を偲んだ。俳優・國村隼、元宝塚歌劇団花組トップスターの榛名由梨、朝日放送エグゼクティブアナウンサー・道上洋三氏、井戸敏三兵庫県知事、藤原保幸伊丹市長らが駆けつけた。

 祭壇には08年に伊丹市内の自宅で撮影された写真が飾られた。田辺さんが大好きだったスヌーピーのぬいぐるみに囲まれて微笑んでいる遺影。会場には展示場が設けられ、田辺さんが愛した京友禅など着物の生地で仕立てたドレス3着、スヌーピーのぬいぐるみ4体、出版した本や、在りし日の田辺さんの写真が飾られた。

 弔辞は田辺さんの友人だった作家の瀬戸内寂聴さん(97)。高齢のために欠席し、元宝塚星組トップスターの瀬戸内美八が代読した。「あなたが私より先に逝かれるなんて、あんまりひどいと思わない?私の方がずっとお姉さんですよ」と嘆き、「この世で巡り会い、小説を通して知り合い、語り合い、すっかり気を許しあった親友になっていたことは、心の弾んでくる嬉しい、嬉しいことでした」と出会いに感謝。「私も97歳にもなって、さすがにめっきり弱りました。お別れの会にさえ出られません。もうつくづくしんどいです。早くそちらに逝って、あなたや(カモカの)おっちゃんに逢いたいです。97歳の死に遅れの寂聴より」と締めくくった。

 また、田辺さんの自伝的ドラマとしてNHK朝の連続テレビ小説「芋たこなんきん」(06年10月~07年3月)で田辺さんの夫の故・川野純夫さん(カモカのおっちゃん、02年死去)をモデルとした役を演じた國村が「1つの仕事が終わると役は抜けてしまうが、カモカのおっちゃんはいつもの仕事では収まらなかった」とインパクトの強い役どころだったことを明かした。さらに「田辺先生はいろんなことを教えてくださった。いつの日か、(先生の言う)ユーモアがあって、ウイットに富んで、人に優しい“チャーミングな大人”になりたい。まだ、そちらへはいけそうもないので、見守ってください」と締めくくった。

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