王将戦・戦国時代(1) 糸谷八段“真田流知略”で番狂わせ起こす

[ 2018年9月28日 18:00 ]

真田幸村に扮する糸谷哲郎八段(撮影:浦田 大作)
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 将棋の第68期王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)の挑戦者決定リーグ戦がきょう28日に開幕した。昨期の残留4人に加え、予選を勝ち抜いた3人の計7者による、棋界で最もハードな総当たり戦。果たして久保利明王将(43)に挑む権利を手にするのは…。参加7棋士に加え、7番勝負で挑戦者を待ち受ける久保王将の8人が戦国武将に扮(ふん)し、それぞれ心境を語った。全8回の連載をお送りする。

 好きな戦国武将を問うと、糸谷哲郎八段(29)は真田昌幸を挙げた。「歴史においてロマンある戦いはいかに寡兵で大軍を破るか。昌幸は報われない。それが美しい」。一昨年、NHK大河ドラマ「真田丸」で草刈正雄(66)が演じた、幸村の父。徳川軍を2度破ったが関ケ原の戦いで西軍についたため和歌山・九度山へ幽閉され、病死した。軍兵の少なさを知略で補い、番狂わせを起こす手腕に憧れた。

 第65期からリーグ戦に出場して4勝2敗、4勝2敗、3勝3敗。挑戦権こそつかめないが挑戦権争いには加わった。だが、もう4期目。楽しみな対戦相手に入門と四段昇段が近い佐藤天彦名人(30)豊島将之2冠(28)を挙げる。

 「タイトルを獲られてからの豊島さんの将棋がどう変わったのか。あと、佐藤名人。反則負けも名人ですから」。奨励会時代、同じ関西本部所属だった佐藤とは対局で、自ら取った駒をなぜか佐藤の駒台へ置いてしまい、反則負けを喫した逸話があった。豊島とは棋士4人で1カ月間マンションを借りて合宿、研究に没頭した間柄。羽生善治棋聖(48)から初タイトルを奪取した7月に続き、27日は菅井竜也王位(26)から2冠目を獲得。3人のうち、最初にタイトルを獲ったのは糸谷で、2014年の竜王。1期で手放し、以来無冠だけにもう後れは取れない。

 広島市出身。大阪大文学部へ進学し、哲学を専攻した。大学院ではドイツの哲学者ハイデッガーを研究し「片方から見て自明なことが、もう一つの目から見ても自明か問い続ける。多層の価値観を自分の中で形成してみる」と10年間の研究成果を語る。棋界も居飛車党、振り飛車党の境界線が薄まり、両者による複眼が求められる時代。哲学的アプローチで王将の高みを目指す。(筒崎 嘉一)

 ◇糸谷 哲郎(いとだに・てつろう)1988年(昭63)10月5日生まれ、広島市出身の29歳。98年9月、6級で森信雄七段に入門。2006年4月、四段昇段。10月、新人王戦で棋戦初優勝。14年、森内俊之竜王にタイトル初挑戦し、4勝1敗で奪取した。

 このインタビューの全文はlivedoor NEWSに掲載される。

http://news.livedoor.com/article/detail/15364144/

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