藤井七段、菅井王位と対局 天才高校生棋士VS平成生まれ棋士初のタイトルホルダー

[ 2018年9月3日 10:52 ]

棋王戦本戦の挑戦者決定トーナメント2回戦の藤井聡太七段(左)と菅井竜也王位
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 将棋の最年少プロ棋士・藤井聡太七段(16)と菅井竜也王位(26)による、棋王戦本戦の挑戦者決定トーナメント2回戦が3日午前10時、大阪市内の関西将棋会館で始まった。

 「天才高校生棋士」VS「平成生まれ棋士初のタイトルホルダー」による注目対決第2ラウンドだ。対局室には先に菅井が入室。振り駒で先手に決まると、拳を握りしめた左手をしばし額にあてながら作戦を確認しているのか黙考。対する藤井はいつになく対局前から何回もお茶を口にするなど、部屋中にピリピリムードが漂った。戦型は戦前に予想された通り、菅井がゴキゲン中飛車に構えた。

 過去に一度だけ対戦したのは昨年8月に行われた王将戦1次予選。その時は菅井が81手で完勝した。ただ、藤井はその後、今年2月に全棋士参加の朝日杯将棋オープン戦で優勝したり、昨年度の記録4部門(対局数、勝数、勝率、連勝)を独占するなど、輝きを増した。前回当時はまだ中学生だった藤井が成長した姿を見せつけるのか、それとも菅井が貫禄を再び示すのか―。

 将棋のタイトル戦は竜王戦、名人戦、王将戦、叡王戦、王位戦、王座戦、棋聖戦、棋王戦の8つがある。そのうち、藤井は今年度、名人戦を除く(順位戦A級所属棋士しか挑戦者になれず、藤井はC級1組在籍のため)タイトルを獲得できる可能性のあった7つのうち、すでに6つで敗退。唯一残ったのが、挑戦者になれれば来年2〜3月にかけて渡辺明棋王(34)と5番勝負を戦うことになる、この棋王戦だ。

 まだタイトル挑戦・獲得の経験がない藤井が勝ち進んで挑戦者となれれば、屋敷伸之九段(46)の持つタイトル挑戦の最年少記録(17歳10カ月)を更新。さらにタイトルを初めて獲得すれば同じく屋敷の持つ最年少記録(18歳6カ月)も塗り替える。逆に菅井に敗れればタイトルホルダーとなる夢の実現は今期は完全消滅し、来年以降に持ち越しとなるため、藤井にとってはまさしく負けられない戦いだ。

 一方、10歳年下の藤井の存在を人一倍、強く意識していることを隠さない菅井にとっても負けられないのは同じ。昨年度、目覚ましい活躍を見せた囲碁・将棋界の関西所属棋士に贈られる「第26回関西囲碁将棋記者クラブ賞」の授賞式が行われた今年5月。席上、受賞を喜びながらも「正直、藤井くんには負けないように、という思いが強いです」と天才児を意識した発言を口にしたこともあった。

 「菅井流」と称される、定跡にとらわれない新手を次々に編み出す研究家として知られる菅井。現在、待望の初タイトルを獲得して勢いにのる豊島将之棋王(28)の挑戦を受けた王位戦7番勝負の真っ最中だが、現在3勝2敗とリードし、初防衛に王手をかけている。将棋界の顔といえる存在となり、その姿勢と実績で、活躍の目覚ましい若手棋士を引っ張っている。

 対する藤井も現在8連勝中で、今年度の勝率.857(2日現在)はランキング1位に君臨し、勝数18勝も2位(同)でまさしく絶好調。学生生活と二足のわらじを履く大変さをまったく感じさせない、現在の充実ぶりをみせている。

 持ち時間は各4時間。本日深夜までの終局が見込まれる。 

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