暴行事件から3年 隆大介 廃業状態から映画復帰「夢心地の時間でした」

[ 2018年3月21日 15:53 ]

映画「私は絶対許さない」に出演する隆大介
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 数々の作品で強面(こわもて)のバイプレイヤーとして存在感を示してきた俳優の隆大介(61)が、映画「私は絶対許さない」(4月7日公開)で2015年に起こした不祥事後初めて劇場映画作品に復帰する。

 再びその日が来た。17年初頭。「私は絶対…」のオファーが舞い込んだ日のこと、撮影の日々のことは生涯忘れられないものになるだろう。「二度とカメラの前で仕事はできないと思っていましたので、現場で過ごした時間はありえないような夢心地の時間でした」。

 演じたのは、集団強姦されてしまった孤独なヒロインの心の支えとなる、わびしいやくざ者。中年から老いるまでを表現するため、短期間に体重を増やす(ロバート・)デ・ニーロアプローチ的役作りに励んだ。「役者とは現場あってのもの。クランクアップの時も『もっと現場にいさせてください!』と言ってしまったくらい楽しかった」とあらためて演じる喜びを知った。

 キャリアは40年近いベテラン。まるで新人の役者のように嬉々と語った。同時に「これが最後の映画出演になるかもしれないという気持ちもあった」という決意も胸に秘めていた。

 名優・仲代達矢が主催する俳優養成所「無名塾」の第1期生。黒澤明監督の映画「影武者」(1980)の演技によってブルーリボン賞新人賞を受賞。味のある脇役として重宝され、マーティン・スコセッシ監督念願の企画「沈黙 −サイレンス−」にもキャスティングされた。

 人生が一転したのは2015年3月21日。「沈黙…」の撮影で訪れた台湾の空港で、泥酔した状態で入国審査官に暴行、現行犯逮捕された。「仕事で台湾に向かう機内だったのでお酒を飲むべきではありませんでしたが、うかつにも口にしてしまいました。入国カードも記載しておらず、それによって入国審査官と片言の英語で話をする中で、収拾がつかなくなってしまった。現地報道陣に対しての傷口を広げるかのような振る舞いも含めて、全部自分がやらかしたこと。一切の言い訳もできません。被害者の方には本当に申し訳ないことをしてしまいました」。

 映画は降板、当時の所属事務所からも契約解除され、これまで築き上げてきたものは自らの愚行ですべて失った。被害者とは和解し、同年7月に帰国。関係各所に謝罪の手紙を送ったが、公に謝罪する機会も仕事もなく、時間だけが過ぎていった。

 「帰国後年内いっぱいは本を読んで考えることで崩壊しそうな自分を食い止めるとともに、自分勝手ながら生きるヒントを求めていました。スコセッシ監督の過去作品も見直しました」。そこにはもう帰ることができないと思いつつも、カメラの前に立つ日を待ち望んでいる自分もいた。

 考える時間は俳優として、人間として成長するために必要な時間だったと今なら言える。「私は絶対…」の撮影終了後、現在の事務所社長が手を挙げてくれた。「廃業覚悟でいましたから、感謝しかありません。かといって自分がやらかしたことは消えることはない。わかったのは人間も役者も一人では何もできないということ。今回の映画出演があったことによって、このように反省の意をお伝えすることもできました。神様が与えてくれた縁でありチャンスと捉えています」。

 還暦を過ぎても人は変わることができる。代償は大きかったが、得たものも大きかった。映画を愛し、一度は裏切り、再び映画に救われた男。「ありきたりですが、俳優をやらせていただけていることに感謝しながら、一つ一つの仕事に対してより謙虚に誠実に向き合っていきたいです」。映画公開は桜の季節。再スタート1年生としては格好の時期だ。(石井隼人)

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