カウス・ボタン「1回1回」の舞台積み重ねて50年 節制欠かさぬプロの気概

[ 2017年11月22日 11:00 ]

「漫才のDENDO」公演の全国2周目ツアーをスタートさせた(左から)「ミキ」の亜生、昴生、「中田カウス・ボタン」の中田ボタン、中田カウス、「矢野・兵動」の矢野勝也と兵動大樹、「スーパーマラドーナ」の田中一彦と武智
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 客前に立つことの責任とは何か。コンビ結成50年を迎えた中田カウス・ボタンの全国ツアー「漫才のDENDO」を見て、そのことを考えた。

 若手のミキや和牛ら5組の後に、おなじみの出囃子「Cadillac Car」でトリで舞台に登場すると、師匠である中田ダイマル・ラケットの得意ネタ「風邪薬」を折り込みながら約1000人の観客を沸かせた。記者の隣で見ていた老夫婦らしき2人も、心地いいリズムに「やっぱりテレビとちゃうなぁ。おもろいなぁ」と声をそろえていた。

 1967年にカウスがバイトしていた大阪・ミナミの絨毯バー「エリーチェ」で、客として訪れたボタンと出会ってから半世紀である。カウスは「ここまでやれたのは、毎回毎回の舞台を日々こなすことです。1回1回の繰り返し。ネタ合わせは気持ち合わせのようなもん。漫才はコンビとして、男同士の仲の良さや元気なところを見せるということなんでしょうね」と長く続けてこられた秘けつを明かす。

 兄弟同士で少年漫才から始めた夢路いとし・喜味こいしは37年から2003年まで66年間にわたり活動。ダイマル・ラケットは約40年ほどだ。現役で50年を超えるコンビは関東では青空球児・好児ら何組かいるが、上方漫才ではカウス・ボタンだけ。NHKのバラエティー「生活笑百科」にも出演し、大阪・なんばグランド花月など劇場ではトリを務めている。

 2人は舞台前に楽屋で1時間から1時間半ほどネタ合わせを行う。カウスはほぼ毎日ジムに通い、ストレッチも含め3時間近く体を動かすという。ボタンの方も「ぼくもジムに行ってるよ」と節制を欠かさない。ネタ合わせは、漫才師としての筋肉を鍛えるため。筋トレはプロとしての立ち姿や体力維持のためだ。そういう気概でセンターマイクに向かう。

 生の舞台には制約もなく、時事ネタも下ネタも何でもありだ。客との呼吸を見ながら、アドリブも入れながら、笑いを大きくする。最近のテレビは自主規制というブレーキがかかりすぎているのか、面白い番組が少なくなっている。そのこともあって劇場に足を運ぶと、より“生の笑い”の良さが際立つ。

 「…DENDO」ツアーは、13年に始まって4年かけて47都道府県を回り5万人を動員し1周目が終了し、11月から2周目に入った。「漫才は今を切り取らないといけません。難しいんですけど、ちょっと考えてるネタもありますねん」とカウス。日々の積み重ねを怠らないことが、今につながっている。(記者コラム)

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2017年11月22日のニュース