豊島八段がリベンジ王将戦 7年前に屈した久保への挑戦権獲得

[ 2017年11月22日 08:00 ]

リーグ戦を勝ち上がった豊島将之八段(右)が感想戦で深浦康市九段と対局を振り返る
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 将棋の第67期王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)挑戦者決定リーグ戦は21日、東京都渋谷区の将棋会館で最終一斉対局を行い、深浦康市九段(45)を106手で下した豊島将之八段(27)が5勝1敗で首位を確定。久保利明王将(42)への挑戦権を獲得した。豊島の王将位挑戦は7年ぶり2回目となる。

 少年の面影を残す表情には「貫禄」の2文字がうかがえる。今期好調の豊島が粘る深浦の王を追い回し、最後はと金で王手をかけると、深浦は潔く負けを認めた。「途中はかなり危険な局面だったので自信はなかったが、1枚駒得になってから指せるかと」。ぼくとつと勝因を語りながらふっと息を吐いた。

 挑戦者決定リーグ戦は10月6日の第1局(対佐藤名人)以来、4連勝。前局の糸谷戦(11月18日)に勝てば独走で挑戦者決定だった。だが痛恨の大差負けを喫し、深浦戦を落とすとプレーオフを強いられる状況に陥った。

 楽勝ムードから一転して臨んだ今局は「とにかく気持ちを切り替えて、全力を尽くすだけ」。後手番ながら積極的に攻め続ける。早い段階から角切りを敢行。その代償として大駒3枚による波状攻撃を受けたものの、一見危険な筋に自王を逃がす絶妙な回避戦術を披露。最後は角切りの対価として得た駒得の立場を十分に生かし切って勝利をたぐり寄せた。

 5戦全勝と波に乗るA級順位戦を含め、今期はこれで28勝6敗。勝率・824は、あの藤井聡太四段に次ぐ堂々の2位だ。「昨年のJT杯優勝や、A級昇格で自信になった」と快進撃の要因を分析する。

 7年前の王将戦で対戦したのはくしくも久保だった。あの時、2勝4敗で散った相手へのリターンマッチとなる。「7年前よりだいぶ力は付いていると思う。成長しているところを見せられるようにしたい」。借りを返すチャンスは十分ありそうだ。

 ◆豊島 将之(とよしま・まさゆき)1990年(平2)4月30日、愛知県一宮市生まれの27歳。桐山清澄九段門下。07年に四段に昇進し、初の平成生まれのプロ棋士に。17年八段。11年には第60期王将戦に20歳で出場し、最年少挑戦者となった。血液型B。

 ▼久保利明王将 最近の豊島八段は将棋の内容が充実しており、前回の王将戦よりも全体的にパワーアップしている。強敵なのは間違いない。勝つための準備をして、自分の将棋を指すのみだ。

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