春風亭昇太が築く「新・笑点」 三平との“対決”番組名物に?

[ 2016年6月12日 11:00 ]

「笑点」新司会に就任した春風亭昇太

 50年の歴史を誇る日本テレビ「笑点」(日曜後5・30)の第6代司会者に就任した春風亭昇太(56)。番組初回からレギュラーを務めた“ミスター笑点”桂歌丸(79)の後継というプレッシャーを感じさせず、5月29日に司会デビューした。新メンバー・林家三平(45)との掛け合いに工夫を凝らしながら“新笑点”を築こうとする独身キャラに意気込みを聞いた。

 歌丸から昇太が司会のバトンを引き継ぐことが発表されたのは、5月22日の生放送。「放送終了後に記者会見をして、それから楽屋に戻って携帯を見たらメールが78件も新しく入っていたんですよ。ほんの1時間程度だったのに」

 高校の同級生や恩師をはじめ、芸能界の友人らから幅広くメッセージが届いていた。親しい芸人の江頭2:50の声の留守電もあった。「エガちゃんにしては冷静な声で“とうとう司会にまでなったのか…”でした。それだけ衝撃が大きかったのかな」。周囲が騒がしくなったのを身をもって感じた。

 これまでは外出の時、「東京の人は見て見ぬふりをしてくれるので」とサングラスやマスクをして変装することなどなかった。だが、発表から一夜明けて道を歩いていると「おめでとうございます!」と何度も声をかけられた。「話題の僕を見つけて思わずしゃべりかけずにはいられなかったのでしょう」と世間の変化にも驚いている。

 初めて司会を務めた5月29日放送の視聴率は28・1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。現在の放送時間になった96年4月14日以来歴代最高を叩き出した。

 世の中の関心の高さの中で平常心で臨めた。「本番前こそ緊張したが、始まってしまうと緊張はどこかに消えていた」という。「長く一緒にやっているメンバーだし新メンバーの林家三平くんもよく知ってる落語家さん。すぐに普段のペースで番組を進行できました」と振り返る。

 三平が3問目の回答で昇太に対して「姉(泰葉)が“独身チビ野郎”と言ってました」と悪態をついた。このため、座布団を全部取り上げる“剛腕”を披露した。

 「彼の奥さんは女優さん(国分佐智子)。独身の僕とはいい対比になりそう」として「歌丸VS円楽」に代わる「新ライバル対決」の期待を抱かせる。「僕も結婚はしたいと思っているのですが、三平くんとかぶったらマズいからブスとしか結婚できませんねえ」とニンマリしてみせた。

 料理、車、スポーツ観戦など趣味も多彩。最も夢中になっているのは城めぐりという。「好きな城がある場所で寄席があるときは、楽屋入りの3時間前には現地に入っています」という熱の入れようだ。

 好みは天守閣がある巨大な城ではなく、戦国時代に各地の武将が築いた山城。「自然の地形を利用した山城は、戦略的拠点として築いているので千差万別。そこがおもしろい」。城に関連した講演依頼もあるほどの博識だ。

 東海大学文学部で日本史を専攻。落語研究会に入って落語にハマり、プロに転身した。大学を中退してしまったことだけが心残りだ。「いま本当にやりたい事は?と聞かれたら、もう一度きちんと歴史の勉強をしたいですね」としている。

 知識と話題が豊富な昇太に日本テレビが期待するのは「10年、20年とさらに番組が続くための礎を築く」こと。歌丸からは「自分の色を出せばいい」というアドバイスをもらった。

 「少しずつ新しい笑点を見せていくことができたらと思っています」と抱負。「そうですね、まずは三平くんという新しい武器をどう他のメンバーと調和させるか、ですかね」。つぶやくように言った新司会者の顔はまるで戦国武将。どんな戦略が飛び出すのか目が離せない。

 ◆春風亭 昇太(しゅんぷうてい・しょうた)1959年(昭34)12月9日、静岡県生まれ。学生時代にテレビ東京「大学対抗落語選手権」で優勝。その後、大学を中退して82年に春風亭柳昇に入門する。92年に真打ち昇進。新作落語の名手で、「タイガー&ドラゴン」(05年)「下町ロケット」(15年)などドラマや映画にも多数出演。落語芸術協会の理事。出囃子(でばやし)は「デイビー・クロケット」。

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