冨田さん本人が110番も位置未確認 現場ではなく自宅へ警官派遣

[ 2016年5月25日 12:24 ]

 東京都小金井市で、私立大3年のアイドル活動をしていた冨田真由さん(20)が刺され重体となった事件で、警視庁は25日、冨田さん本人が携帯電話からかけた110番を受けた際に位置情報を確認しなかったため、警察官を事件現場ではなく、冨田さん宅に向かわせていたと明らかにした。

 冨田さんから相談を受けていた武蔵野署は、通報時に迅速に対応するためのシステムに、冨田さんの名前や住所、電話番号と「ファンがツイッターで執拗に書き込みをしており、ライブ会場に押し掛けてトラブルを起こす可能性がある」という情報を登録していた。

 警視庁によると、21日午後5時5分12秒に冨田さんから110番があった。「助けて」という声が聞こえたが、担当者からの呼び掛けには応答がなかった。名前や自宅住所は登録していたため同51秒に、冨田さん宅を管轄する武蔵野署に指令した。

 6分57秒に目撃者から「男が女の首を刃物で刺している」と110番があったため、9分14秒に冨田さんがいた現場のライブハウスを管轄する小金井署に指令し、警察官を向かわせた。12分14秒に同署の警察官が現場に着き、岩埼友宏容疑者(27)=殺人未遂容疑などで送検=の身柄を確保した。

 通信指令本部は「位置情報もすぐに確認するべきだった」として、システムに登録されている人が110番した場合、担当者の端末に位置情報が自動表示されるよう、6月中にシステムを改善すると明らかにした。これまでは手動で確認していた。全ての110番についても順次、自動表示できるようにする。

 捜査関係者によると、冨田さん本人からの110番は約10分間つながったままだった。岩埼容疑者に襲われ、携帯電話を落としたためとみられる。目撃者から110番が入り、サイレン音が聞こえたため、担当者が電話を切った。

 冨田さんから21日にライブがあることを伝えられた武蔵野署は、会場を管轄する小金井署に、110番があった場合の対応を依頼していた。

続きを表示

2016年5月25日のニュース